
興味関心の共通点
「伝え方を整えれば、伝わる形になる。」
前回の対話で学んだことを、さっそく実践してみようと思った。
まずは夫。何を訊いても「好きにすればいいだろう」と返す彼に、伝え方を変えたらどうなるのか?
「あなたはどう思う?」と質問を変えたり、具体例を出して意見を求めてみた。・・・が、結果は同じ。
「俺は特に何も考えてないよ」「お前の好きにしたらいい」まるで固い壁に話しかけているようだ。「伝える形を整えるだけで伝わるわけじゃない・・・」
龍先生に相談すると、こんな答えが返ってきた。
「伝える形は大事ですが、伝え方だけを変えても結果が出ないこともあります。相手に興味がある話になっているかを考えたことありますか?重要ポイントは、真紀子さんと相手の興味関心の共通点を見出すことです」
確かに、私は「自分が伝えたいこと」ばかり考えていた。「相手の興味関心」にはフォーカスしていなかったのだ。私は何のために伝えようとしているのだろうか?伝わった先にいる成長した私は、どのように輝いているのだろう?
「考えてみて言えることは、大切な人と感動を分かち合えるような私になりたいです」
「いいですね。大切な人ということは、『狭く深く』ということでしょうか?」
「そうですね。『浅く広く』ではありません」
「では、私と同じですね。私も『光を当てる側』だと考えています。私の大切な方が成長し、世を変える指導者となっていただきたいと願っています」
「はい。すごく似ています」
「ならば、『狭く深く』な影響力を培っていく必要がありそうですね。」
「影響力ですか?」
「機会重視型」と「信頼構築型」
「真紀子さん、影響力を持つ方には、大きく2つの考え方があります。」
「2つの考え方?」
「はい。『機会を活かす機会重視型』と『信頼を築く信頼構築型』です。他にもありますが、真紀子さんにはこの2つが必要だと見立てています。全部あげると混乱しそうなので、興味あれば他の型も調べてみてください」
「機会を活かす方は、失敗より目の前のチャンスを逃すことを嫌い、即行動し結果を出すタイプ。一方、信頼を築く方は、長期的な関係性を深めながら、じっくりと影響力を深め広げるタイプです。」
私は考え込んだ。
「つまり、どちらがいいというわけではなく、それぞれのスタイルに強みがある?」
「そのとおりです。どちらも大切ですが、いかにバランスをとるかで、影響力の質が変わってきます。機会を活かしながら、深い関係性を築くことで本当の影響力が生まれるんです。」
「なるほど・・・。私は『狭く深く』スタイルですが、合わせて『機会を活かす』『信頼関係を深める』両方の視点が欠かせないということですね?」
「はい。『狭く深く』だからこそ、適切な機会に貯めてきた影響力を発揮する場を見極めることが大切です。逆に機会を追いすぎても、信頼が薄ければ継続的な影響力にはなりません。」
「なんとなく分かります。今まで何をやってもヌカに釘な感覚が抜けなかった理由を理解できた気がします。」
「そうですよね。私もここに気づけず、ずいぶん悩み苦しんできました」
バランスの調和点
私はノートを開き、新しい問いを書き込んだ。
『私は、どのように機会を活かし、どのように信頼を築いていくべきか?』
機会を活かすことと、信頼を築くこと。この2つのバランスをどうとるかが、次のステップになる気がした。「私の最適バランスとは?」を見定めることで、ただ伝えるだけでなく、「相手が心から動きたくなる伝え方」ができるのではないか?
試行錯誤を続けるうちに、少しずつ手応えを感じ始めた。特に、お客様とのコミュニケーションが変わってきた。
「この前、説明してくれたこと、すごく分かりやすかった。」
「あなたの言葉で、やっと買う決心がつきました。」
伝わる形を調整すれば、結果につながる。「伝えたのに伝わらない」ではなく、「伝わる方法を試す」という意識に変わることで、機会を最大限に活かせるようになった。ここからが信頼関係を紡いでいく正念場だ。機会を活かすことは「きっかけ」なだけだ。真の影響力とは、「その機会を信頼に変えていけるかどうか」なのだ。
さぁ、いこう!