いよいよ最終回。龍先生は出てきません。真紀子さんは自立を理解し、卒業です。

存在価値があるから貢献できている
私は、朝目覚めて、ゆっくり深呼吸をした。夫の「おはよう」と活気に満ちたあいさつ。夫は退職し、相談役として補佐してくれることになった。出会った頃よりもさらに親密になれている。
今、夫と手をつないで散歩に出かけた。弾む会話の中、いろんなことが走馬灯のように浮かんでくる。
この数カ月、自分と向き合い悩み迷いながら、一歩ずつ前に進んできた。かつては「母」として、「妻」として生きてきた日々。役割が終わった時、ぽっかり空いた心の隙間。
今、心の隙間は不安ではなく、新しい可能性で満たされている。多くのつながりの中で、信頼する仲間を持てた。お金を得るよりも、100倍以上の価値がある。なぜなら、その仲間を通じて社会貢献させていただけている実感があるから。「私に存在価値があるから貢献できている」という感覚が、本当に嬉しいのだ。
「今の私は、もう過去の私じゃない。生まれ変われたんだ!」そう言葉にした瞬間、胸の奥に温かい感覚が広がった。
未来を創る側
目の前の道は、これからどうなるか分からない。 でも、それがどうしたというのだろう?「私は、未来を創る側にいるんだから。」
かつては私を縛っていた「影」。 今はそれすらも、「光を映し出すもの」だと気づいた。手掛けるのは、単なるアパレルショップではない。今までの抑圧してきた経験が役に立てている。だからこそ私は存在価値を実感できているのだ。
「女性が本来の自分を取り戻し、自由に輝くためのライフスタイルブランド」 を立ち上げる。
服を売るだけではなく、一人ひとりが自分自身の価値を見つけ、表現できる場所。 ブランド名は「Harmostique(ハーモスティーク)」。「Harmonia(調和)」+「Chic(シック・洗練)」をかけ合わせた造語である。
セレクトショップだけでなく、オリジナルのラインも展開し、 全国の女性起業家たちとコラボを進める。
ファッション・ウェルネス・マインドセット。 それらを統合した、新しい生き方の提案。かつて憧れた3人の女性の言葉が浮かぶ。
「ファッションはただの服ではなく生き方なのよ。」
— ココ・シャネル
「シンプルであることは、洗練されていること。」
— アニエス・トゥルブレ(アニエス・ベー創業者)
「いいデザインとは、生活の中に溶け込み、心地よさをもたらすもの。」
— マーガレット・ハウエル
光の中を歩む
ブランドは、尊敬する3つの哲学を融合させたもの。1人だけをモデリングしても、絶対にうまくいかない。私のアイデンティティは誰かのコピーではないのだ。華やかでありながら、本質的な生き方の追求。エレガンス・シンプルさ・機能美のバランス。
服を選ぶことは、自分を選ぶこと。 自分の人生を、自分自身でデザインし表現すること。
かつて誰かのために生きていた自分はもういない。 これからは、私が自分の人生を創り出す番だ。私が決めたことなのだから、何が起きようともすべて受け入れよう。光の中を、堂々と歩いていこう。
ふと顔を上げると、頬を優しく撫でる風が心地よい。 太陽の光が、これまでとは違って感じられた。
歩みを進める。ここからが、本当の始まりなのだから。