痛みの中に芽生えた光
「あの痛みを味わいきったことで、何かが変わった。体の奥底から、凍っていた何かが溶け出すような感覚があった。」
夜明け前の静寂の中、ベッドの中でそっと目を開けた。先日の激痛を思い出す度、胸を締め付けられるような感覚は消えない。しかし今はそれだけではない。温かい、確かに温かい何かが、胸の奥で息づいているのを感じる。
優花の笑い声が、風のように私の胸を撫でていく。その声は、私を責めるのではなく、前へ進めと背中を押してくれる。 娘の死に対する自責の念は、確かに残っている。だが、それだけではない。まるでこの経験には意味があるのだと、全身で訴えられているような気がした。
数日後、再び龍先生との対話。以前よりも、その表情には確かな光が宿っている。
「芽衣子さん、前回の対話から何か心境の変化はありましたか?」龍先生の声は、いつものように穏やかで、心にすっと沁み込んだ。
「はい、龍先生。娘の死を、ただの悲劇として終わらせたくない思いが、日に日に強くなっています。意味を見出したいですね」ゆっくりながらハッキリ答えた。
龍先生が静かに頷く。「素晴らしい変化です。その思いこそが、次に進むための扉を開く鍵となります。」
魂の願いとの対話
「では今日は、芽衣子さんの心の中にある『娘さんの魂が今、何を望んでいるか』、そのメッセージに耳を傾けてみましょう。」龍先生の言葉に、心臓が小さく跳ねた。
「え? 亡くなった後にも、望みがあるんですか? そんな都合の良いことなんて・・・。」思わず声に出ていた。
龍先生が微笑む。「魂には、生前に成し遂げられなかったことや、伝えたかった未完の願いが残ることがあります。例えば分かりやすく、芽衣子さんが今死んだとしましょう。未練が残りませんか?その未練をそのままにしておきますか?」
「絶対にあり得ません」
「ですよね。だからこそ優花さんの想いを芽衣子さんが受け継ぎ形にすることで、新たな希望が生まれるんです。魂の昇華とは、痛みを抱えたまま、それでも誰かのために歩み出「だからこそよかった」となること。それは悲しみの中に灯る小さな祈りのようなものです。
優花さんの思いは、確実に届いています。これから、優花さんのメッセージを受け止めるアンテナ受信機をイメージしてみましょう。優花さんの想いを映し出すスクリーンになってあげるんです」
龍先生は、瞑想を促すように静かに目を閉じた。私もそれに倣い、目を閉じ深呼吸を繰り返す。意識が次第に研ぎ澄まされていく。脳裏に、あの子の笑顔が浮かんだ。幼い頃、無邪気に駆け回っていた姿。
気づけた使命と決意

「・・・この感覚でしょうか?『お母さん、私の分まで生きて。そして、私と同じような悲しみを抱える人が、一人でも減るように、あなたの経験を伝えてほしい』と。」目から、止めどなく涙が溢れ出してくる。
「いかがですか?芽衣子さん。それが優花さんからのメッセージだとしたら?」
「・・・涙が止まりません。悲しいだけじゃない、温かい涙です。優花の死が、私の人生の終わりではなく、新たな使命を与えてくれたのだと、今ハッキリと感じています。」声は震えていたが、そこには確かな力が宿っていた。
「はい。素晴らしいです」
「私は優花の声を胸に、これからの人生を歩んでいきます。この深い痛みは消えることはありません。その痛みの中にこそ、誰かの心を照らす希望の光があることを知りました。」
龍先生は、深く、慈愛に満ちた眼差しで見つめてくれている。「芽衣子さんのその決意こそが、優花さんの魂を安らげ、多くの心を癒す光となりますよ」
私は優花の声を胸に、語り始めよう。この痛みが、誰かの希望になることを信じて。今はまだ、小さな光でも、必ずその光は広がるはずだ。
優花、あなたの願いを、私が生きて届ける。どうか、見守っていてね。
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