
気づきの先にあるもの
ノートに向かいながら、私はじっと考えていた。
「私が本当に求めていたもの・・・それは、受け取ること?」
何かを成し遂げようとするたびに、私はずっと「求めること」に意識を向けてきた。目標設定から足りないものを探し、もっと何かが必要だと考え続けてきた。
・・・もしすでに目の前に与えられているものを見落としているとしたら?
その夜、再び龍先生と対話する時間を持った。
「真紀子さん、何か気づかれましたか?」
「・・・はい。私はずっと補うことばかりを考えていました。『足りないからこそ、穴埋めしないと』と考えてきました。今感じているのは、あるものに気づけていなかった・・・。受け取ることが必要なんじゃありませんか?」
「その気づきは大きいですね。では、受け取るとはどういうことだと思いますか?」
「・・・すでに与えられているものを、素直に受け入れること?」
「そうですね。とはいえ、それが簡単ではないのが人間です。」
「確かに・・・。私は今まで、何かを手に入れようとするばかりで、与えられているものに目を向けていませんでした。」
「なぜ受け取れなかったんでしょう?」
「・・・・・・・」言葉に詰まった。
受け取れない呪縛のカラクリ
「受け取れない呪縛のカラクリがあること、ご存知でしょうか?」
「え?カラクリ?そんなものがあるんですか?」
「はい。受け取ることには、実は覚悟が必要なんです。受け取ることで責任が生じること、分かりますか?あまりに大きな愛情で無意識に避けてしまった経験、私にはありましたが真紀子さんはいかがでしょう?本当の意味で受け取ると、言い訳できなくなるんです。」
「・・・なるほど。」
「例えば、成功を受け取る覚悟がない人は、無意識にチャンスを避けがちです。愛を受け取る覚悟がない人は、人との距離を取ろうとします。理由は、人は誰しも安定を求めています。何かを受け取るということは、何かを捨てているんですよ」
私は息をのんだ。
「では、私は・・・?」
「真紀子さんの場合、もしや『受け取ること』に対して、どこかで罪悪感を持っていたのかもしれません。『許可していない=禁止令』です。もともとの私も、罪悪感で大いに悩み苦しんできました。」
確かに・・・・・・・。私は家族や周囲のために、いつも何かを与えようとしてきた。誰かに頼ることや、受け取ることを後回しにしてきた気がする。それは愛情ではなく、罪悪感からだったのかしら?私は自分に禁止令という呪縛をかけているのか・・・。
罪悪感の解放
「受け取ることへの罪悪感を解放しませんか?真紀子さんの場合、受け取ることの意味や価値を理解できたら、次のステップに進めるように感じますよ」
静かにうなづいた。先生がおっしゃるとおり、今だと思う。
「解放とは、『あってもなくてもどちらでもいい状態』と定義づけています。まずは呪縛を解いて、ゼロやニュートラルに戻しましょう。効果は、真紀子さんの決意や情熱と比例関係にあります。」
「では、真紀子さんにとって、今すぐ受け取るべきものは何でしょう?」
「・・・・・・・・・・・」ノートを開き、問いを読み返した。私が今、ぜひ受け取りたいものは何か?問いの先に、新しい私が待っている気がした。