
真紀子さん。孤独から解放されたものの、うまく言語化できず感情表現に困っています。
経営者は孤独?
「経営者は孤独だ」とよく言われる。確かに、かつての私はそう感じていた。妹の由依が上京した時、深い孤独に沈み込んでいた。しかし今は違う。同じ環境にいるのに、以前とはまるで違う感覚がある。私は孤独なのだろうか?
「真紀子さん、大きく成長されましたね。よく『経営者は孤独だ』と言いますが、実は違います。」
「やっぱり!何かが違うのは分かるんですが、言葉にできません」
「孤独ではなく、孤高です。経営者が『孤独』をどう扱うかで、『孤高』へ進むか、『孤立』してしまうかが分かれます。」
「孤高・・・言葉が違うんだから意味も違いますよね。具体的にどう違うんでしょう?」
孤独を活かす
「孤独とは、1人の状態です。寂しさや不安、無力感がつきまとうこともあります。求めても得られず、『誰にも相談できない』と苦しむこともあるでしょう。」
「以前の私そのものですね。」
「ですが、孤独は本来、良いものでも悪いものでもありません。問題は、それをどう扱うかです。孤独を嘆き続ければ、『どうせ誰も分かってくれない』と心を閉ざし、周囲との関係を断ってしまいます。これが『孤立』です。」
「確かに、あのときは本当に誰ともつながれないと感じていました。」
「逆に、孤独を活かせば、孤高へと昇華できます。孤高とは、誰かと距離を置くことではなく、自分の信念を貫きながらも、適切なつながりを持てる状態です。」
「なるほど…孤独をどう受け止めるかで、未来が変わるんですね。」
「その鍵となるのが、自立です。」
自立は孤独を孤高へ導く架け橋
「やはり自立なんですね。」
「そうです。自立は、孤独を孤高へ変えるために不可欠な要素です。孤独を嘆くんではなく、自ら決断し行動することで、孤高へと進めます。」
「つまり、『孤独(無力・寂しさ)→ 自立(決断・責任)→ 孤高(誇り・信念)』という流れがあるんですね!」
「まさにその通りです。孤独を放置すれば孤立へ向かいますが、自立を経れば、孤高になれるんです。」
「すごくしっくりきました!」
「悪いのは孤立です。社会や組織から切り離され、協力を得られない状態。孤独・絶望・無力感がつきまといます。実際、ある社長に『お前、何を勝手に孤立してるんだ!』と叱られ、ハッと目が覚めました。」
「先生にもそんな時期があったんですね」
「私はそちらの方が圧倒的に長いです」
自立の本質とは?
「自立とは、孤独を孤高へと導く力。辞書には『誰にも頼る必要がない状態』とありますが、それでは本質を捉えきれていません。自立とは、『つながりの中でこそ成立するもの』です。まちがっていると主張して10年、ようやく定義づけきれました。」
「つながりの中で・・・?」
「そうです。自立には、以下の3要素があります。」
精神の軸
3要素の中で最重要です。自分自身を信頼できている分しか、他を信頼できません。精神の軸の確立と健全な信頼関係は、比例関係にあります。
だからこそ誰かに認められなくても、自分で自らを承認。他人の意見を尊重しつつも、自分の決断を信じられます。失敗しても立ち上がれます。結果、孤独を孤高へ昇華できます。
経済の土台
お金のための不本意な選択を排除。価値を生み出し、経済的な安定。経済の土台が盤石であれば、妥協する必要がなくなり、信念を貫けます。お金の不安がないからこそ、理想を下げずに選択できるんです。
思考の羅針盤
誰かに決めてもらうんではなく、他人の意見を聴きながらも、自ら考え決断。多数派に流されない明確な判断基準。明確な羅針盤があれば、孤独に惑わされることなく、孤高な存在になれます。
主張し続けて5年になります。『私が決めたことだから』の一言があるかないかで、人生は大きく左右されます。何をやるにも、ご本人の決断が根底にあれば、運気の流れにも影響を及ぼします。
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「ぃや〜、しびれます!すごく明快ですね。先生と話していると、言葉の素晴らしさを痛感します。自立の価値を再認識しました!」
「ありがとうございます。真紀子さんも、すでに自立へ向かっていますよ。」
「私も・・・?」
「はい。今、この話を聞いてしっくりきた時点で、すでに変化が始まっています。」
「自立って、本当に素晴らしい言葉ですね。」
自立とは、誰にも頼らないことではなく、つながりの中で生きること。私はこの自立を通じて、どんな人生を紡いでいきたいのか、改めて考えてみたくなった。