自立具現化コーリングを受け始め、1年が経った一区切りとなる龍先生との対話が始まる。
「もう1年になるんですね。ものすごく濃密でした。この1年で4年分は生きた感覚があります。ハッキリ覚えている出来事、たくさんありますよ」
「そうですよね。本当にいろんなことがありましたね。」
「鮮烈に覚えているのが、3ヶ月目の散歩していて寝違えたこと。先生から心筋に原因があると指摘され、自分を追い詰めていたことに気づけました。」
「そうでしたね。芽衣子さんから『散歩していて寝違えました。何とかなりませんか?』と言われた時は、まさに『は?』でした。寝ている最中でもないのに、首にハリが起きたと言うとことは・・・。
前にも同じような症状でお悩みの方がいらっしゃいましたから、ピンときましたよ。変わろうとするからには、見合った出来事が確実に起きます。ちなみに同じ症状の方は、心筋の問題から解放されたら、急速に好転されたんですよ」
「そうだったんですね。どおりで。私も第2の人生を歩むべく、新たに生まれ変われた手応えを感じています。」
「そうですよね。本当にこれからが楽しみですね。」
優花の問い「名前って、何?」を継承し、 私自身の人生を再構成し始めた1年前。自発的に選んだ記憶がない、空っぽだと気づいた瞬間から、すべてが始まった。
今は違う。その空白に、確かな輪郭が生まれている。問いは、実感に変わり、実感は、日々の生活の細やかな選択に染み込んでいる。
核に触れる響鳴
「最近は、誰かと話していても、その人の『核に触れる瞬間』が分かるようになりました。私が何かを伝えるというより、その人の中にあるものが自然と立ち上がってくるんです」
龍先生は頷いた。「それこそが、5〜7次元の感覚です。『核を越えた世界』では、伝えることよりも、響き合う響鳴が中心になります。芽衣子さんは、もはや場の中心的立場にいらっしゃるんですよ」
「なるほど。すごく合点がいきます。確かに、以前は『私が何かをしなきゃ』と思っていました。でも今は、ただそこにいるだけで、周囲が動き出すことが増えました。私自身が起点になっている感覚です。あまりにうまくいきすぎて、怖いくらい」
「確かに今までにない新感覚でしょうから、慣れるまでには時間を要するでしょうね。それでも、この1年の中に、いろんなエッセンスを詰め込んだと自負できています。
私が覚えているのは、胃のエピソードです。芽衣子さんが親から愛されてきたがゆえに、基準ができてしまっていたこと。」
「そうでしたね。私も鮮明に覚えています。だからこそ、その基準で夫を比較してしまっていたこと。今となっては夫に申し訳ないですが、夫の分も一緒に生きようと決めています。」
「素晴らしいですね。多くの葛藤がありましたよね。多くの自己否定を解放できたからこそ出てくる言葉です。湧き出てくる感情と恐れずに向き合ったからこそ、今の芽衣子さんがあるんです」
私発の価値と「調和の美」
大きく頷いた。かつての私が、親や家の影響を受け、強制的に選ばされていたことを思い出す。今は、伝統を承継しつつも私発の価値観を設けている。問われたことが、自分の中で響き、周囲に広がって私に戻ってくる。「調和の美」という感覚を理解できたことが、何よりの収穫だ。
県知事をやめてから、何もない身となった。一時は本気で自殺まで考えた。今でも何があると胸を張って言えるわけではない。しかし私の中に核を創り出せた確信がある。外側の肩書は、表面的な表現でしかない。すべてを失ったからこそ、本当に大切なものを見定めることができた。そう思うと、感謝の気持ちが溢れてくる。本当にありがたい。

佐々木さんとの協奏においても、どんどん話が進み、講演の場を設けていただけており、県外からも声がかかっている。何より優花や夫と一緒に語れている実感があることが嬉しいのだ。
「私は、幸福になるために生まれてきた」ものすごく遠くにあったその言葉。今では自分の中心軸となっている。全ての皆さんに共有すべく、魂に灯るきっかけを、どうやって影響を与えていけるのか?