
健太郎さん、これからどんどん変革していきます。私の得意分野は根底からの変革サポート。核が変わる以上、変われないものはありません。
ーーー
オンライン面談の5分前。デスクにノートとコーヒーを用意し、PC画面越しに映る自分をチェック。
「聴く」「問う」——昨夜、ノートに書いた言葉を見直す。 画面が切り換わり、いよいよスタート。穏やかな笑顔と、あの作務衣姿。セミナーとは違う、もっと近い距離感。
「田中さん、今日はお時間ありがとうございます」
「こちらこそ、よろしくお願いします」緊張している自分がいた。ながらも隠す気にはならなかった。
見透かされた問いかけ
「田中さん。少し変わった問いをしてもいいですか?」
「はい」
「『責任を果たすこと』と『自分らしさ』が、ぶつかり合ったことはありませんか?」
返答できない。言葉を失った。
「情熱的に動きたいのに、それが誰かを困らせたり、調和を乱す気がして・・・。結果、動けなくなる・・・。口グセとして「私がガマンすればいい」そんな感覚、ありませんか?」
「・・・・・・・・・・・・」一気に核心を突かれた。
「例えば私の実例。友人のライブで、人数も少なく盛り上がっていません。だからこそ1人で盛り上げようとノリノリに。ようやく盛り上がったら、『私の役目は終わった』と言わんばかりにシラけてしまっていたんです」
「・・・それ、まさに今の私です」
「やはりそうですよね。田中さんにおいてはごく自然なことです。なぜなら田中さんの性質が、『赤海公』だからです。田中さんは、赤は好きな色でしょうか?」
赤海公という鏡
「赤海公・・・?初めて聴きます。赤は、エンジ色は好きですが、真っ赤は派手すぎて控えてしまいますね」
「はい。こちらは、『ライフプロファイリング』という診断方法です。『誕生日・血液型・出生順・出生地』から読み解いていきます。すべて数値化されており、310億通りのパターンがあります。数値を周波数というエネルギーで読み解き、20年経った今でも同じ方がいないそうです。
赤は、情熱です。やりたいことをやりたい。ただ、海は包容力が強く、公は社交的で和を重んじます。つまり『思いきって本音で生きたい自分』と、『空気を乱したくない責任ある自分』がぶつかりやすいんです」
私は、言葉を飲み込むようにうなづいた。
「・・・実は私、情熱で突き進んできたんです。でも家族や社員のことを考えると、最近はどんどん後ろに下がっていくような感覚があって」
「それが情熱の減衰のように感じられたのかもしれませんね。でも、それは燃え尽きたのではなく、広げ方が見つからなかっただけかもしれません」
「広げ方・・・?」
「情熱は火です。火は、燃やす場所と酸素がないと持ちません。今、山火事が頻繁に起きていますよね?あれは、乾燥した状況でちょっとしたきっかけで発火し、どんどん燃え拡がっています。赤海公タイプは、燃やすふさわしい場を見定めることが、再起のカギになります」
名前に宿っていた設計図
彼は静かに続けた。
「田中健太郎という総画からは『理想に導く牽引者』という性質があります。『健』とは健やかに真っすぐに。『太郎』は、守るべき柱を担う者。『田中』は、全体との調和と責任の中でこそ輝く姓です」
「・・・まさに、私そのものですね」
「『赤海公』と『田中健太郎』というエネルギーは、人生の役割を演じていくための設計図のようなものです。当然ながら忘れてしまうこともあります。責任が重なればなおさらです」
PCに映る画面越しの顔の表情に、少しずつ頬の力が抜けてきていることに気づいた。
「・・・私、自分の名前を嫌いになりかけていたことがあって。でも今、ちょっとだけ誇りに思えてきました」
「よかったです。だからこその姓名承認です。姓名判断を20万人超向き合ってきた私なりの結論です。いったん離れたとしても、名前と心がつながった時、人生の中心軸がよみがえります。そのプロセスをご一緒できることが、私の喜びです」
健太郎の目が潤んでいた。だが、それを拭うことはしなかった。
自分の内にある火
「田中さんに、もう少し進まれたらご案内したい提案があります。『自立具現化コーリング』という、私独自のプログラムです」
「・・・名前だけでも、ちょっと気になります」
「『自立』という言葉に何かが反応される方は、やがて『自分の内側の神』と出会っていくものです。ライフプロファイリングと組み合わせながら、田中さんだけの『本当の使命』を形にしていくサポートです」
「それ、私にもできますか?」
「そうですね。田中さんが『やりたい』と心から思った時、道は必ず開けますよ」
その言葉に、なぜか胸が熱くなった。説明できない「響き」で伝わる何かがあった。
面談が終わった後、健太郎はノートを開き、こんなふうに書き記していた。
『本当の自分を、もう一度迎えにいこう』
画面の向こうではなく、「自分の内にある火」を、今度は自ら灯していく。そんな感覚があった。
——これが、「本音に出会う」ということなのだろう。