真心と配慮の調和〜外舘美奈さん物語5

以下を書いていて感じたのが、「そうですね」相槌の深み。本当に理解して納得の上で、こだわってみました。

呼び名の交差点

翌日午前9時、厨房の仕込み前。客個室でZOOMを開いた。画面の向こうには、柔らかな光を浴びた佐藤真紀子さん。

「おはようございます。今日は、語り合える時間をいただきありがとうございます。」

「こちらこそ。朝の空気って、語りやすいですね。昨日からずっと、話したくてたまらなかったんです。」

「そうですよね。で、私は佐藤さんのことをこちらでは何とお呼びしたらいいでしょうか?」

「はい。真紀子でお願いいたします。では私も、美奈さんでよろしいですか?」

「もちろんです。ありがとうございます。」

空気が、画面越しに澄んでいく。真紀子さんに、見た目の美しさだけではない魅力を感じる。その魅力の原因を知りたくて、今日のこの時間となったのだ。

存在価値の発掘

「昨日、はじめにお訊きしたとおり、私には輝いて見えます。話の限りには、おっしゃる先生とのご縁から始まったのではないかと仮説を立てたところです。そうでもありませんか?」

「はい!そのとおりです。龍先生なしには今の私はあり得ません。」

「龍先生?中国人でしょうか?もしよければ、少しだけ教えていただけませんか?」

真紀子さんの口角が上がる。語りたくてたまらない空気が、画面越しに伝わってくる。

「はい。龍先生は私の名前を通じて、存在価値を発掘してくださった純粋な日本人です。名前の音・意味・響き、そして場との関係まで。そこでようやく私自身が『佐藤真紀子』であることの意味を、初めて考えました。」

私は、興味深く惹き込まれていくのが分かった。

名前と場の響き

 真心と配慮の調和〜外舘美奈さん物語5

「名前と場の響き・・・。それは、料理にも通じるものがありますね。いかに真心込めた料理でも、相手をいかに気遣うのか?という配慮こそが、明暗を分けますからね。

その『名前と場の響き』が、真紀子さんの中でどう響き合っているのか、もう少し聴かせていただけますか?」

「はい。正直、最初は名前に意味があるなんて考えたこともなかったんです。でも、龍先生に名前の音を丁寧に聴いていただいて、自分でも気づいていなかった場との違和感が浮かび上がってきたんです。」

「へぇ、それはどんな?」

「例えば同じ真紀子でも、家族の中で呼ばれる響きと、職場で呼ばれる響きが、まるで違っていて。ただの私の感覚の違いだと思っていたんです。先生は『場との関係性が名前に現れている』っておっしゃって。そういったことの積み重ねから、名前がただの識別情報じゃなくて、『私の存在価値そのもの』なんだと気づきました。」

「それはすごい気づきでしたね。感じる世界が一変しますよね」

「そうなんです。それ以来、名前の響き方を意識するようになりました。だから美奈さんの店で澄んだ空気を感じて『ああ、ここでは佐藤真紀子として響いていいんだ』って、感動したんです。」

「そうだったんですね。」

生き様のカスタマイズ

「先生は、『龍 庵真(りゅうあんしん)』という名前で活動されていて・・・。でも、ただの名付けではないんです。生き様やあり方から『本来・本当・本物』をカスタマイズしてくださるんです。」

思わず身を乗り出して聴いてしまっている。さらに深呼吸した。

「生き様やあり方から。素晴らしいですね。私が料理でやっていることと、やはり似ているかもしれません。スタッフを雇う上でも、あり方はすごく重要だと考えてきました。技術うんぬんも重要ですが、同じものを作っていても、あり方次第で大きく変わるんですよ」

「そうなんです。私が『空気が澄んでいた』と感じたのも、やはり龍先生の影響を受けているからかもしれません。おかげさまで、見えていた世界から奥行きが増しました。」

「はい。真紀子さんの感想コメントを拝見し、非凡さを感じました。私にとっては料理の美味しさは当然です。場の浄化を気遣うようになってからの世界観が全く違うんです。それを言葉に表していただけたことが本当に嬉しかったんです。」

ご縁の予感

「先生は、名前が喜ぶ場を生み出し整える方です。スゴイと感じるのが、語らせるのではなく、『言葉が自然に溢れ出す場』をつくるんです。」

「やはり料理と同じですね。『食べさせる』のではなく、『食べたくなる場をつくる』です。私もぜひ龍先生に会ってみたいんですが、おそらくはかなりお忙しいんでしょうね?」

「そうですよね。私も最近連絡できていないので、どうなっているか気になり出しました。美奈さんをおつなぎしてもいいか、確認してみますね」

「ありがとうございます。すごく楽しみです。」

ーーー

数日後、真紀子さんからお電話。今週の金曜日10時〜だという。3日後だが、なんとかなりそうだ。3人でオンラインにて。このご縁が、どう変わっていくのだろう?真紀子さんの情熱のきっかけとなったお方。興味が止まらない。

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人生変えたご縁〜外舘美奈さん物語4

「本当に?」と疑ってしまった『人生変えたご縁』。リアルさにものすごくフォーカスしていますが、言葉が溢れ出てきて、自動書記に近い状態。気づいたら深夜1時を回っておりました。

再来店

2ヶ月前、お客様から届いた感想メール。「場の空気が澄んでいた」という言葉が、記憶に深く残っていた。

そのお客様が、再来店。 予約は2ヶ月待ちにもかかわらず、即座に申し込んでいたという事実が、スタッフの間でも話題になっていた。

「佐藤様、あの夜のあと、すぐに次の予約を入れてくださったんですよ」 「2ヶ月待ちなのに、迷いなく。」

厨房の空気が、張り詰める。真価が問われているような気がしている。どんなことになろうとも、絶対に感動を分かち合って店を出ていただく覚悟で臨んでいる。そのための私なのだ。

食事を終えたお客様が、厨房の奥に向かって一礼。その所作に、場の空気が奮える。

「こんにちは。店長の外舘美奈です。先日は本当に素晴らしいコメントをいただき、スタッフ一同感動いたしました。かつ即座に予約を入れてくださり、今日に至れましたこと、心より感謝しております。」

「はい!前回の感動が忘れられなくて、また来ました。この空間にいた時間が、今も体に残っているんです。前回は家族がいたから、あまり話せませんでしたね。」

私は、大きく頷いた。スーシェフの悠太が声をかける。

「もしよければ、初めていらした時のこと、少しだけ教えていただけませんか?」

初対話

佐藤真紀子さんと美奈さんの初対話 人生変えたご縁〜外舘美奈さん物語4

「息子の結婚が決まって、結納の前夜でした。こじんまりとした静かな場で、家族と過ごしたくて探していたんです。口コミで見つけて、直感で選びました。

でも、料理だけじゃありませんでした。場の空気が、澄んでいたんです。料理を通じて癒しや希望や情熱を湧き立たせるような・・・。明らかに美味しさだけではない、ステキな魅力を感じたんです。」

私は、溢れ出る思いに任せ、言葉を返した。

「前回のメールでもいただきましたが、改めて感謝いたします。私のマリアージュが、届いたんだと思いました。さらに本当にいらしてくださり、生で聴かせていただけることに、感無量です。」

「マリアージュ?そうだったんですね。素人の私には分からないことだらけですが、響き合う調和があったんですね。」

「はい。そうですよね・・・。尊敬の念を込めて、改めてお訊きしたいしたいんですが、いいでしょうか?」

「なんでしょう?」

人生変えたご縁

「私には佐藤様がとても素晴らしく、輝いて見えます。幼い頃からそうだったんでしょうか?」

「ありがとうございます。シェフのようなステキな女性に言っていただけると、天にも昇る気持ちです。私はもともと専業主婦で、小さなアパレルショップから始まったんですよ。こうして都内へ頻繁に来れるようになったのも、本当につい最近のことです。」

「そうだったんですね。では何がきっかけだったんでしょう?」

「ある方とのご縁ですね。名前を主に多角的に向き合ってくださった方のおかげです。この方のことを語り出したら、私は止まらなくなってしまいます。いいでしょうか?」

「え!?そんなに佐藤様の人生を変えた方がいらっしゃるんですね?」声色が変わったのが、即座に分かった。

「そうですね。今は営業時間でしょうから、他の方との関わりもありますよね?」

「そうですよね。ご配慮ありがとうございます。佐藤様の声から、語りたくてたまらない雰囲気を感じます。」

「え!?声の変化を感じれるんですか!すごい!先生もそうなんです!」

「先生?佐藤様の先生でしょうか?」

「正確には違いますが、私の人生を変えるきっかけとなった方がいるんです。」

「本当に長くなりそうですね。ではまたあとでご連絡させていただきます。佐藤様がそこまでおっしゃる方、すごく気になります。」

「はい。シェフが予想以上にステキな方だったので、饒舌になってしまいました。あとでオンラインにて、語り合いましょう。」

脳裏に浮かんできた記憶

QRコードを通じてオンラインでつながり、翌日9時からのアポ。予想もしていなかった展開に驚いた。佐藤様がおっしゃる「先生」とは誰なのか、すごく気になっている。佐藤様を「語りたくてたまらない」状態にまで魅せてしまい、《名前を主に多角的に向き合う》《声の変化を感じれる》等、つながりを全く感じない。

こんな胸踊る気持ちになったのは、いつぶりだろう?脳裏に浮かんできたのは、TV取材に応じている師匠のインタビューに感動した場面。高1夏にたまたまつけていたTVで、番組で師匠が現れ釘付けになった。「私が人生賭ける価値があるのはこれだ!」と感じた。

高2で中退し料理の世界へ入って行ったのも、実家での生活に耐えきれなかったことと、「これだ!」という確信だ。その時から、気持ちが揺らいだことがない。当時の感動が、佐藤様の振る舞いから呼び覚まされてきた。

師匠はすでに引退し、隠居なさっている。久々に会いたい気持ちになった。


#専業主婦

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#人生

味覚の再構築〜外舘美奈さん物語3

美奈さん、味覚が衰えていく中で、どう切り抜けていくかを模索中。信頼関係って重要だと改めて実感です。

マリアージュ

厨房の奥に立つ。いつもの位置。味の輪郭が、どんどん霞んでくる。火入れの香りは読める。動線の緊張も感じる。しかしソースの酸味や塩味が、どう響いているのかつかめない。

「私は、何を味わって生きてきたんだろう?」 「この店で、何を伝えたかったんだろう?」「なぜ、何を、どうあきらめきれないんだろう?」「そもそもなぜ、こんなことになってしまったのか?」

様々な問いが、急き立ててくる。未来の私は、確実に何かをつかみきれている。店の皆を信頼し、新たなチーム編成でお客様を迎え入れている。そのイメージはあるが、何をどうやって再構築できたのか、雲をつかむような感覚だ。

考えに考えても、今の私には解決能力がない。それだけははっきり分かっている。小中学生ながらに大学入試の問題なんて解けないのと同じように、分からないことを分かろうといかに努力したところで無意味だと分かっている。だからと言って、何か策があるのか?何もないーーー。

悠太が言った。「美奈シェフ、味の調整を一緒にやりませんか?僕らの舌も、使ってください。」

まさにこの瞬間、脳内ランプが光ったのを感じた。初めて「他者の舌」を信じてみようと思った。ソースの酸味・塩味・苦味・甘味——それぞれの舌感覚が語る。厨房が、味を言葉にし始める。

味覚の再構築は、舌のマリアージュから始まった。

新チームと新たな響き

美奈さんの確信 味覚の再構築〜外舘美奈さん物語3

味を言語化し共有することで、場の空気が変わった。厨房の動線が滑らかになり、音の粒が整っていく。私は確信した。

「私の舌が曖昧でも、場の響きは整えられる。味は、私1人で作るものじゃない。  素材とソース、火入れと香り——それらが響き合う。それこそが、マリアージュ。」

新メニュー、新役割、新空気。厨房が、再び動き出した。

再出発から数日後、一通のメッセージが届いた。

「料理も素晴らしかったですが、場の空気が澄んでいて、心が静まりました。あの空間にいた時間が、今も体に残っています。ものすごい感動を、本当にありがとうございます。ぜひまたお伺いしたいです。」

私は目を閉じ、歓喜に奮える手応えを噛みしめた。

「料理の感想なんて、いくらでもある。でも『場の空気が澄んでいた』なんて言葉、初めてだった。私のマリアージュが、届いたんだ。」スタッフ全員で、その感想メールを喜んだ。

場の響き

味覚は曖昧でも、場の響きは守れる。 「味わうことの意味」は、私の舌だけではなく、場の共鳴にある。未来の私のイメージが、少しずつ鮮明化されていく。ピンぼけしたモノクロ写真が、高解像度のカラー動画へ変わっていくように。

「私は、味だけを作っていたんじゃない。場の響きを生み出していたんだ。それが、私の『舌感の記憶』だったんだ。」

ステキな感想を送ってくださったお客様へ、即返信。

「ありがとうございます。諸事情から、新たなチーム編成をしたところでした。『お客様と感動を共有できるよう、私たちに何ができるのか?』を真剣に語り合っていた中にいらしてくださり、コメントにスタッフ全員が感動しております。ぜひいらしてくださいませ。本当にありがとうございます。」

もうダメだと絶望感に打ちのめされていたが、仲間に支えられ切り抜けきれそうだ。さらなるマリアージュを求めて、仲間と一緒に進めていこう。

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#大学入試
#雲

舌感の記憶〜外舘美奈さん物語2

舌ガンだと申告された美奈さん。親との確執から、40年帰省したことがありません。料理一筋に生きてきたため、知り合いかつ信用できる仲間が、店のメンバーしか思いつきません。

告白の温度

厨房の奥、いつもの位置に立っているはずなのに、 包丁の重さが違う。メンタルが、体に及ぼす影響は甚大だという話を聞いたことがある。身をもって痛感している。現実を突きつけられるまでの私と今の私では、何もかもが違ってきている。

「舌ガンです」 医師の言葉が頭の中で何度もこだまする。味覚は、さらに曖昧になっている。それでも、仲間にはまだ言っていない。言えない。

最も信用している店の仲間—— 伝えた瞬間、何かが壊れる気がしていた。すさまじい恐怖感がある。とはいえ黙っていることも、嘘をついているようで苦しい。

「美奈シェフ、今日のソース、ちょっと違いますね」その一言が、胸に突き刺さる。違うのは、ソースじゃない。私だ。

厨房の音が遠くなる。心の中がざわつきながら、悶々と問いが込み上げてくる。「私は、何を味わって生きてきたんだろう?」 「この店で、何を伝えたかったんだろう?」改めて「味わうことの意味や価値」を問い直す。

舌感の記憶

家を出て帰らないと決めている理由は、母の固執した日本料理へのこだわりだ。子どもの頃から、誕生日ケーキ等も他の皆とは違う、変な色をしたものだった。「家庭の食卓」という話題が、周囲とかけ離れていた。だからこそ、友達を招き入れたこともない。親を誰にも紹介したくなかったし、家族のことを語りたくなかった。

「私は絶対にお母さんみたいな生き方はしない!」と常々口にしてきた。だからこそ、早く家を出て、全く別の世界を生きることにしたのだ。高2当時の17歳で限界を感じ、都内の料理店で修行。一心不乱に没頭し、3年でパリへ。

20歳から10年、美食文化の激戦区で徹底的にしごき抜かれた。30歳で都内の1等地に開業できるよう資金援助してくださる方が現れ、千載一遇のチャンスだととらえた。渡仏前に師匠からいただいた牛刀を携え、日本へ帰国し今に至る。

25歳でソース担当となり、それこそ七転八倒の苦しみだった。ソースを通じて素材とのマリアージュ。感覚を研ぎ澄まさなければならない。皿洗い当時から厨房はまさに戦場だったが、洗練されるほどに内側へ向いていくのが分かった。

たとえ素材がよくなかったとしても、ソースによって極上の味に仕上げることができる。だからこそ、舌感(味覚)には極めて細心の注意を払ってきた。だからこその疑問。なぜ私が・・・・・・?

「死ぬまで料理人」という決意

意を決し、すべての作業を終えてから、皆に残ってもらった。

「美奈シェフ、どうしたんですか?」スーシェフの悠太が問うてくる。

「重大な発表があるの。言うべきか、かなり悩んだんだけどね。」

「何ですか?美奈シェフのためなら、何だってやりますよ」皆が口々に言う。

「私・・・、舌ガンらしいのよ。ステージ2だと言われたわ。腫瘍が舌の左奥裏に3cm程度あって、3人の医師に切除手術を勧められたわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」一気に場が凍りつき、真空化されたかのようだった。

「そうよね。言ったところで、皆もどうしようもないわよね。私、絶対に切りたくないの。死ぬまで料理人でいたいから。切らずにガンとの問題を解決する道を探したいの」

「確かに今のままではどうしようもありませんが、話してくださってありがとうございます。・・・美奈シェフお1人で悩み苦しむんじゃなく、私にも一緒に背負わせてもらえることを感謝しています。」悠太がたどたどしくも、返してくれた。

「そうですよ!私も一緒に悩み考えます。話してくださり、本当にありがとうございます。」スタッフ9人全員が、改めて1つになれたと感じた。話せてよかったと、心の底から感動し涙が溢れてきた。

告白を受け入れられ感動の涙 舌感の記憶〜外舘美奈さん物語2

だからと言って、まだ何も解決したわけではない。これからどんな展開になっていくのか、考えるほどに恐怖が湧いてくる。今までにも、似たような出来事があった。恐怖を感じていても、払拭できるほどに没頭していこう。

#生き方
#帰省
#メンタル
#感謝
#龍
#誕生日ケーキ

違和感の正体〜外舘美奈さん物語1

様々向き合わさせていただき、「プロフェッショナルかつストイックに追究してきた方との相性がいい」とピントが合わさってきました。

佐藤真紀子さん
田中健太郎さん
藤堂富美子さん
早乙女芽衣子さん
に続く、5人目の物語。

没頭してきた40年

「お疲れ様〜」

すべての役割を終え、いつもなら充実感とともに帰宅。今日は言いようのない違和感がある。意味不明な不安と焦燥感が襲ってくる。昨日と今日の私は、明らかに何かが違っている。何が分からないのかが分からない。しかし確実にマズいことが起きているようだ。

私は外舘 美奈(とだて みな)、57歳。港区麻布十番で腕を振るうフランス料理人。皿の上に描かれる一皿は、芸術と称され、予約は2ヶ月先まで埋まっている。日本料理人だった母に反発し、中卒後に単身フランスへ。そこで脇目も振らず一心不乱に料理の世界へ没頭してきた40年。

厨房の熱気、スタッフの声、火の音。そのすべてが、私にとって情熱であり、生きがい。感情は、邪魔だ。皿に乗せるのは技術であり、魂の結晶であり、メッセージだから。去年『プロフェッショナル〜私の流儀』(NHK)からの出演依頼があり、そこで不動の信頼を得た。

店から徒歩3分の1ルームにて、言いようのない違和感を抱きながらも、明日に備えて寝る。料理の世界で生きてきた私には、恋愛とは無縁だった。誰かを好きになるよりも、お客様へ料理を通じて感動を提供することが、私の喜びなのだ。

S.ジョブズが着ている服装は黒のタートルにジーンズだったという話に同感である。料理のことしか考えたくない。服装なんて厨房に入れば着替えるんだから、何だっていい。プロフェッショナルの料理人として、世に恥じない生き方を全うしたいのだ。

違和感の正体

味覚の精度への迷い 違和感の正体〜外舘美奈さん物語1

数日後、仕込みを終え、心がザワっときた。スープの味が、分からない。塩も、香りも、温度も、ちゃんと揃っている。今まで塩1mgの違いを見極めきれていた。その精度の感覚への迷いがある。

予約していたランチ後の休憩時間に受診。検査後の診断で言われたショッキングな一言。「味覚に麻痺障害がありますね。味蕾の塩味の神経に異常があるようです。精密検査をお勧めします。」まさに茫然自失な状況。言葉が出てこない。顔面蒼白な感覚がよく分かる。

ディナーでは、スタッフの誰にも気づかれないよう振る舞えた。しかし心の中は、ものすごく動転している。スタッフが優秀なのが幸いだ。今まで咀嚼して詳細に教え施してきただけに、皆立派に育ってくれている。

今までツラくキツい時ほど、笑うよう努めてきた。「大丈夫。きっと大したことはない。すぐに元に戻るよ」と言い聞かせて、どうにか閉店できた。自宅まで徒歩3分だが、すぐに帰りたい気分ではない。コンビニで大好きなカシューナッツとワインを買って帰宅。

終わりの始まり

精密検査の結果が出て、再受診。なんと・・・・・・・・・舌ガン。ステージ2だというのだ。医師からは総合病院へ紹介状を書くからと、手術による切除を勧められた。舌を切るということは、味覚の精度が落ちないわけがない。それだけは絶対にイヤだ。

医師からは「味覚が落ちようとも、生き延びられるんだからいいじゃないですか」と返答。いくら言っても覆りそうになかったので、保留させてもらうことにした。舌を切るということは、料理人としては生きられないのではないか?約40年、料理人として生きてきた。他の人生が、どうしてもイメージできない。

夜の厨房。誰もいないはずなのに、火の音が耳に残る。私は洗い場前で立ち尽くしていた。初めて肉担当になれた記念にと、師匠からもらった牛刀を見ながら、涙がこぼれた。

「なぜ私が?」

今まで健康には極めてこだわってきた。野菜を多く摂り、添加物は控えるよう細心の注意を払ってきた。出かける時も弁当持参。売っている食材なんて信用できない。「◯◯がいいよ」と言われれば、即試してきた。水にもかなりこだわり、浄水器には最高の本格派を組み込んでいる。

「なぜ私が?」

私には志がある。私の店を世界一のフランス料理店とすること。そのためのミシュラン5つ星は通過点だ。NHKからの出演依頼も高じて3つ星まで来れた。料理に私の全人生を懸けてきたのだ。こんな道半ばにして、あきらめきれるわけがないだろう!

「なぜ私が?」

どうしても解せない。納得できない。ガンだなんて、全くもって信じられない。私に限って、そんなことあるわけがないのだ。セカンドオピニオン、サード・・・と試みるが、同じ診断結果。舌ガンという事実、受け入れざるを得ない。しかし手術は絶対にイヤだ。とはいえ、手術するしかないんだろうか?

理解できない、納得できないと言いつつも、症状は進行しているのだろう。「夢であってくれ」「朝目が覚めたら治っている」と願いながら、気がついたら1人でワイン1本空けていた。どんどんまぶたが重くなっていく。

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痛みを抱き込み響きを醸成〜早乙女芽衣子さん物語18

遺名〜孤闇の響鳴司

遺名 孤闇の響鳴司 by 痛みを抱き込み響きを醸成〜早乙女芽衣子さん物語18

かつて私は、誰かに決められたレールの上を歩いてきた。県知事としての肩書き、家系の期待、社会的な役割。表面的には華やかでも、娘を自殺に追い込むほどの闇を抱えていた。向き合おうとしなかったしわ寄せの被害の甚大さに気づいた時、今までの努力が無価値どころか逆効果に思えた。闇は、誰にも理解されず、私自身を蝕み覆い尽くしていた。

だからこそ問い直した。「私は、本当に幸福になるために生まれてきたのか?」 空虚に立ち尽くし痛みを受け止め、自立具現化コーリングを通じて、ようやく核に触れた。龍先生がおっしゃる「核を突き抜けた自由自在な対話」の意味と価値を噛みしめている。

今、私は「孤闇の響鳴司」として生きている。孤闇とは、表現できない痛みが沈殿し、誰にも理解されない深み。孤独な闇をさまよってきた者として、他者との響きを生み出し、場に灯火を宿せる。響鳴司とは、痛みを受け止め響きを醸成し、場に灯火を宿す演出家。響鳴とは、核と核が新たな調和を生み出すコミュニケーションである。

73歳にしてようやく気づけたこの役割は、まさに遺名と呼ぶにふさわしい。自分と向き合い、対話を重ねてきた人生の集約であり、これからの社会への演出でもある。

現状の社会的変化の経過

肩書きから役割へ

政治家としての役割を終え、場の演出家として再出発できた。娘の死を通じて知事をやめ後追い自殺を考えた件をはじめ、包み隠さずありのままを語れている。結果として各地からもオファーを受けている理由は、惨めや無念さで終わらせず、感謝感動につなげきれているからだと評価されている。

何よりも内的評価による自己信頼の基盤ができている実感がある。常に優花と夫がともにいてくれている感覚があるのだ。振り返って思うのが、「私だけが一生懸命」が心の奥底にあった。だからこそ、奉仕の気持ちで尽くしてきた。

今は極めて自然体の私を表現できている。調和とは、私も含めた皆々が、独自の特性を引き立てあっていること。知事だった当時までは、輪の中に私がいなかった。今私は、孤独から最も遠い場所にいる。

共鳴型リーダーシップの発動

指示ではなく、響きによる場の醸成。今まで多くの講座等で学んできたこと多くの点が、線や面として活かせている。講演・協奏・起業支援など、実践の場が拡張。知事当時は、「私がやらねば誰がやる」が信条だった。空元気で振る舞っていたことを痛感している。県民や支持してくださっている方に喜んでいただくため、側近たちを従わせていた。

結果として、「田中角栄の娘では?」と冗談混じりに言われるようにもなった。表向きに力強く装うほどに、内外の自己乖離が起きていた。だからこそのしわ寄せとして、娘 優花の自殺。あの日以来、糸が完全に切れてしまった。

自立具現化コーリングから対話を深めて感じること。「リーダーシップって本当に必要?」「誰かが立たねばならないの?」「もしメンバー全員がリーダーシップを発揮できたら?」そんなイメージがどんどんカタチになってきている。龍先生がよく語っていた前提の重要性を噛みしめている。前提をどう扱うかで、視点が大きく変わってしまうのだ。

孤闇からの解放

痛みを語れない人々の声を拾い、解放サポート。家族の死を主に、第2の人生を望む人々への灯火となっている。

娘を亡くしてしまった絶望感、「私だけが一生懸命」と虚勢を張ってきた強がり。どちらも孤独な闇だった。龍先生との対話から生まれた孤闇(こやみ)。まさに今までの私を表現する言葉だ。

今でも孤闇は私の中にある。しかし以前とは心境が全く違っている。なぜなら解放でき、強い味方となってくれているから。だからこそ、闇を抱えて悩み苦しんでいる方に寄り添えるのだ。

解放にあたり、龍先生の言葉が身に沁みている。「芽衣子さんの中にあるものは、すべて素晴らしい宝物です。孤闇のように今は快く思えない感覚でも、悪玉菌のように0にしてはいけません。悪玉菌自体が問題ではなく、望ましい状態を維持できていないことが問題です」

締めの宣言

「孤闇の響鳴司」 それは、痛みを癒し解放できた者の役割。私は、幸福になるために生まれてきた。この灯火を、望む方々の中に宿すために、私の人生を全身全霊で演出していく。

人類史上、多くの偉人たちが追究してきた「◯◯の自分像」。自立具現化コーリングを経て、究極のパートナーとして創り出せた。私が創り出した以上、どう更新していくかによって私の未来も変わっていく。一緒に成長できる喜びを実感できている。

これからも、つらくキツイことはたくさんあるだろう。まだまだこれから大きく羽ばたいていきたいのだから、見合った出来事が起きてこないわけがない。天命に基づいた生き方にこだわりながら、多くの皆さんと感謝感動を分かち合っていきたい。優花や夫ともたらす調和を祈りつつ・・・。

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核に触れる響鳴〜早乙女芽衣子さん物語17

『芽衣子さんシリーズ』いよいよクライマックスを迎えます。娘さんの自殺を機に向き合ってみて、自らの空虚感に気づいていきます。どうしたら臨場感を持たせきれるか?考えに考えました。

ーーー

自立具現化コーリングを受け始め、1年が経った。一区切りとなる龍先生との対話が始まる。

生まれ変われた手応え

「もう1年になるんですね。ものすごく濃密でした。この1年で4年分は生きた感覚があります。ハッキリ覚えている出来事、たくさんありますよ」

「そうですよね。本当にいろんなことがありましたね。」

「鮮烈に覚えているのが、3ヶ月目の散歩していて寝違えたこと。先生から心筋に原因があると指摘され、自分を追い詰めてきたことに気づけました。」

「そうでしたね。芽衣子さんから『散歩していて寝違えました。何とかなりませんか?』と言われた時は、まさに『は?』でした。寝ている最中でもないのに、首にハリが起きたと言うとことは・・・。

前にも同じような症状でお悩みの方がいらっしゃいましたから、ピンときましたよ。変わろうとするからには、見合った出来事が確実に起きます。ちなみに同じ症状の方は、心筋の問題から解放されたら、急速に好転されたんですよ」

「そうだったんですね。どおりで。私も第2の人生を歩むべく、新たに生まれ変われた手応えを感じています。」

「そうですよね。本当にこれからが楽しみですね。」

優花の問い「名前って、何?」を継承し、 私自身の人生を再構成し始めた1年前。自発的に選んだ記憶がない、空虚だと気づいた瞬間から、すべてが始まった。

今は違う。その空虚に、確かな輪郭が生まれている。問いは実感に変わり、実感は日々の生活の細やかな選択に染み込んでいる。

核に触れる響鳴

「最近は、誰かと話していても、その人の『核に触れる瞬間』が分かるようになりました。私が何かを伝えるというより、その人の中にあるものが自然と立ち上がってくるんです」

龍先生は頷いた。「それこそが、5〜7次元の感覚です。『核を越えた世界』では、伝えることよりも、響き合う響鳴が中心になります。芽衣子さんは、もはや場の中心的立場にいらっしゃるんですよ」

「なるほど。すごく合点がいきます。確かに、以前は『私が何かをしなきゃ』と思っていました。でも今は、ただそこにいるだけで、周囲が動き出すことが増えました。私自身が起点になっている感覚です。あまりにうまくいきすぎて、怖いくらい」

「確かに今までにない新感覚でしょうから、慣れるまでには時間を要するでしょうね。それでも、この1年の中に、いろんなエッセンスを詰め込んだと自負できています。

私が覚えているのは、胃のエピソードです。芽衣子さんが親から愛されてきたがゆえに、基準ができてしまっていたこと。」

「そうでしたね。私も鮮明に覚えています。だからこそ、その基準で夫を比較してしまっていたこと。今となっては夫に申し訳ないですが、夫の分も一緒に生きようと決めています。」

「素晴らしいですね。多くの葛藤がありましたよね。多くの自己否定を解放できたからこそ出てくる言葉です。湧き出てくる感情と恐れずに向き合ったからこそ、今の芽衣子さんがあるんです」

私発の価値と「調和の美」

大きく頷いた。かつての私が、親や家の影響を受け、強制的に選ばされていたことを思い出す。今は、伝統を承継しつつも私発の価値観を設けている。問われたことが、自分の中で響き、周囲に広がって私に戻ってくる。「調和の美」という感覚を理解できたことが、何よりの収穫だ。

県知事をやめてから、何もない身となった。一時は本気で自殺まで考えた。今でも何があると胸を張って言えるわけではない。しかし私の中に核を創り出せた確信がある。外側の肩書は、表面的な表現でしかない。すべてを失ったからこそ、本当に大切なものを見定めることができた。そう思うと、感謝の気持ちが溢れてくる。本当にありがたい。

壇上で語る第2の人生 by 核に触れる響鳴〜早乙女芽衣子さん物語17

佐々木さんとの協奏においても、どんどん話が進み、講演の場を設けていただけており、県外からも声がかかっている。何より優花や夫と一緒に語れている実感があることが嬉しいのだ。

「私は、幸福になるために生まれてきた」ものすごく遠くにあったその言葉。今では自分の中心軸となっている。この確信を、すべての皆さんと分かち合いたい。 魂に灯るきっかけを、どう届けていけるのか—— その問いを胸に、生まれ変われた実感をもって、 全身全霊をかけて、私の天命を全うしよう。

※天命:生まれた目的成就への役割

#価値観
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究極の自己対話への序章〜早乙女芽衣子さん物語16

芽衣子さん。覚醒後の解放感から、いよいよ本格ステージへ。

幸福の本質

私以外のために生き、中身が空っぽだったと気づいた今、ようやく立ち上がった問い『私が心から望む幸福とは?』。

それは、自己否定から解放された今だからこそ、ようやく見つめられる問いだった。「姓名覚醒」というだけあり、覚醒できた手応えはある。だからこその空虚感。夜明け前のモンゴルやサバンナ等の大平原に1人立っているようだ。更地にできた今、何をどう構築していけばいいのか?

浸透していく天命

龍先生との対話の中で、「天命」というキーワードが響いた。「天命とは、生まれた目的成就への役割」が、私の中の空白に、着実に浸透していっている。

「芽衣子さんの誕生日等から見ても、『場を創る』役割が明確です。喜びや楽しみを原動力に情熱が発されます。寄り添いながら、場を設計する方です。どれだけ皆さんの支持を得られるかにかかっていますね」

「すごい!とても納得できます。だから知事として3期も勤めきれたんですね。親も政治に関わっており兄妹もいましたが、政治家として跡を継いだのは私だけ。うまくいっている時は決まって、私が自発的に意欲をあらわにしていました。結果として多くを巻き込めていました。」

「ですよね。そう出ていますから。」

調和と自己中心

「しかし今は、今までと路線が違います。『私以外の周囲のために』ではないと感じています。『私自身を原点とした方針』が、何よりも重要だと感じています。これは自己中心ではないんでしょうか?自分で言っておきながら、他人のために生きていないことに良心の呵責が湧いてきます。」

「さすが芽衣子さん、謙虚ですね。その腰の低さが人気を集めた要因なんでしょうね。では、質問です。『調和と妥協の違い』って、分かりますか?」

「全く似て非なるものだと思いますが、とっさに問われると、即答できません。」

「そうですよね。私も今必要だと感じ、頭の引き出しから引っ張り出しました。おそらくは今までで最も分かりやすい解答ができます。」

「何でしょう?」

「分かりやすく10あるうち、4が同じだとしましょう。それでよしとしている状態が妥協。10のうち、6が違っています。その違いをチャンスと解釈し、対話を深めながら10以上の価値を生み出せている状態が調和。いかがでしょう?」

「本当ですね!今までたくさんの本を読み、いろんな場面で考えてきましたが、ものすごくスッキリしました。」

「かつ『調和とは、それぞれが独自の個性を発揮しながら、お互いに引き立て合っている状態』です。よって芽衣子さんが、いかに周囲の皆さんのためにと尽くしていても、芽衣子さん自身の心が伴っていなければ、蚊帳の外ですよね?調和できていると思いますか?」

「え!?私、ダメじゃないですか!」

「そうですよね。残念ながら不十分だったんです。しかし、そんな不十分な芽衣子さんを認めて慕い応援してくださる方がいたんですよ」

「ごめんなさい・・・・・・・。今、ウルッと来ちゃいました。感謝です」

創り出す神との対話

「はい。私との対話でも、相応に感動できます。しかし私が言う《核》は、完全に異次元です。」

「自立具現化コーリングですね。『5〜7次元を自由に往来する』『核を突き抜けた世界』とおっしゃられてましたが、どういうことなんでしょう?」

「はい。ようやく語れるステージに来ましたね。優花さんの死から今に至るまで、段階を経ることがどうしても必要でした」

「そうですよね。落ち込みようが尋常ではありませんでしたからね」

「芽衣子さんのように、悩み苦しみを受け止めて『私が心から望む幸福とは?』を本気で問う方は、この感覚を扱う準備が整っています。空白を恐れず向き合える方にこそ、理解できることですから」

「はい。本気で向き合いたいです。優花のためにも」

「かしこまりました。一言で表現するなら、『究極の自己対話』です。自己対話ながらに、『究極のパートナー=芽衣子さんだけの神』を創り出します。芽衣子さんが神を作り出せたとしたら、創り出された神は何と言うでしょう?」

「はい?今まで考えたこともありませんでした。さっぱり分かりません」

「はい。だから世界初なんです。神を非宗教感覚で表現できているからこその価値です。おそらくは、完全に予想外な言葉が出てきますよ。」

「『?』が頭の中を飛び交っていますが、なんだかワクワクしてきます。」

「約半年〜1年を予定していますが、天才はもちろん、神がかりな存在になれますよ。なんてったって、芽衣子さんだけの神を創り出すんですから」

「なんだか、ケタ違いな展開ですね。本当に異次元感覚です。ぜひもう少し、確認させていただけませんか?」

「そうですよね。では、改めて後日『究極のパートナー』とは誰なのか?をお伝えさせていただきます。今まで500人超に問うてきましたが、ヒントを交えて答えきれた方は5人。約1/100です。芽衣子さんにはぜひ答えていただきたいですね」

「はい。楽しみにしています。」

究極の自己対話への序章〜早乙女芽衣子さん物語16

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次回は、芽衣子さんが「自立具現化コーリング」を受け始めて1年後。

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姓名覚醒から変わる私の人生〜早乙女芽衣子さん物語15

芽衣子さん。姓名覚醒セッションを受け、約3ヶ月が経ちました。

姓名覚醒から変わる私の人生〜早乙女芽衣子さん物語15

問いの継承「名前って、何?」

「名前って、何?」

優花が遺したその問いは、私の中でずっと響いていた。それは単なる疑問ではなく、私自身の人生を根底から揺さぶる問いだったから。

龍先生との対話の中で、「姓名覚醒」という言葉が出てきた時、直感的に「ここから何かが変わる」と感じた。それは肩書きや経歴ではなく、「私という存在が、何に宿っているのか」を再定義するプロセスだった。

名前を主軸とした誕生日・血液型・出生地・出生順——  

1つ1つの情報が、名前に宿る意味を照らし出していく。「早乙女芽衣子」という名前が、ただの呼び名ではなく、『私の人生の設計図』だと知った。私は初めて、自分の人生を「自分のもの」として扱える手応えがある。

約3ヶ月のプロセスの中で、何度も優花の問いに立ち返った。「名前って、何?」  

それは「私って、誰?」という問いと幾重にも織り重なっていた。過去の私は、役割に生きてきた。  県知事として、母として、周囲の私以外の期待に応えることで、自分の価値を保とうとしてきた。  

自己否定の正体

しかし今は違う。名前に宿る意味を通じて、《覚醒》という価値と向き合えている実感がある。分かってみればたわいもないことだが、最も混乱したのが「自己否定の正体」。

昔ある講座で「自己否定をやめれば解決する」と言われたことがある。当然ながら、否定したくて否定しているわけではない。自己対話の中で、自分の中の何者か同士が裁き罵り合っているのだ。正体をつかめなかった当時の私は、自己否定している自覚さえもなかったのだ。

覚醒という実感を味わってみて感じるのは、誰かに認められるための価値ではない。私が私として生きるための、「揺らがない核」としての価値。何かの本で読んだことがあるフレーズ「私は、幸福になるために生まれてきた」が、胸に深く刻み込まれている。

「芽衣子さん、いよいよですね」  

龍先生のその言葉が、今は渇いた大地に沁みわたっているかのようだ。優花の問いを継ぎながら、 私自身の人生を、再構成している最中だ。何もやる気が起きず、後追い自殺を考えていた当時からは、確実なコンプリートだ。

だからこそ湧いてくる問題。「私が心から望む幸福とは?」が曖昧なままである。自己否定から解放され、ニュートラルな今だからこそ、考えた方がいいと分かっている。今まで、自分以外の周囲のために生きてきた。名前を通じて核を見据えきれたからこそ、中身が空っぽだと気づいてしまった。

天命と高次元の世界へ

「芽衣子さん、いかがでしょうか?ここまで来ると、全体像を理解し始められたのではないでしょうか?」

「そうですね。かなり膨大な内容ですが、なんとなくつかめてきました。」

「私はこんなやりとりを通じて、『天命に生きる方』を輩出したいと考えています。興味ありますか?」

「はい。龍先生がおっしゃることなら、興味あります。ただ、天命と多くの皆さんが言いますが、どういったものを天命と言うんでしょう?」

「お、さすが素晴らしい質問ですね。ありがとうございます。『天命とは、生まれた目的成就への役割』だと定義づけています。誕生日等からも実感できたのではありませんか?誰しも何らかのプログラミングされた設定に基づいて生きています。ぜひその設定を理解し使いこなしきっていただきたいですね」

「すごい!天命をこうもシンプルに分かりやすくまとめた方、初めてです!はい!ぜひやってみたいです。」

「では、私が32歳当時に思いついたものの、20年近く封印してきたものがあります。『自立具現化コーリング』と言いまして、5〜7次元を自由自在に往来できるようになります。5〜7次元とは『核を突き抜けた世界』です」

「そんなのがあるんですか!なんか不可思議ですが、私にもできるんでしょうか?」

「分かってみれば、カンタンです。逆を言えば分かるまでは五里霧中です。人類史上多くの皆さんが悩み苦しんできたテーマの1つ。『ぜひ反論してください』と言い続けていますが、世界中で普遍性がある内容です。

先ほどの『自己否定の正体』を逆手にとった感覚で、おそらくは世界初のアイデアです。カンタンでシンプルだからこそ、深めがいがありますよ。存在価値の重要性をご理解いただいている芽衣子さんのような方にこそ、受けていただきたいですね。」

予想もしていなかった展開に、感極まった。

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名前から観た新次元的あり方〜早乙女芽衣子さん物語14

芽衣子さん、いよいよ本題に入れそうです。亡くなった娘さんの思いを背負い、役割を全うすべく奔走いたします。

即答と葛藤

先日、会の代表である佐々木さんから、思いがけない言葉をかけられた。

「一緒に(この活動を)広めましょう」

私は、二つ返事で頷いた。その瞬間、迷いは一切なかった。魂が純粋に共鳴し、次の一歩を踏み出すことを決めたのだ。 しかしなぜだろう?その後に湧き上がってきたのは、言葉にならない葛藤だ。

私はその感覚を、龍先生に打ち明けた。

「頷いた瞬間は、確かに迷いがなかったんです。でも・・・その後に、何かがざわついて。 『本当に私にできるの?』って、過去の私が問いかけてくるような感覚で・・・・・」

龍先生は、言葉を選ぶかのように言葉を紡いだ。

違和感の正体

「芽衣子さん、いよいよですね。その違和感や葛藤は『魂の更新=転機の兆し』です。違和感を無視するのではなく、象徴として扱うことで、場が深まります。 芽衣子さんが頷いた瞬間に感じた衝動——魂の浄化が進み、深みが増している証です。もし葛藤がなかったとしたら、本当に望むことって何でしょうか?その問いの答えは、芽衣子さんの本質が知っているはずです。」

私はその言葉に、ハッとした。 違和感は、拒絶ではなく兆し。それは、私が次のステージへ進むための、最も重要なものへの更新作業なのかもしれない。

「転機は、すべての皆さんに例外なく訪れます。その時々においてどう解釈し、いかに処理してきたかによります。」

「転機?何のことでしょう?」

「レベルは違えど、今までも同じように違和感を抱くことがありませんでしたか?様々な理由から思い悩むことありませんでしたか?」

「そうですね。ありましたよ」

「誰しも人生において、3回は人生を変えるほどの劇的な転機があると言われます。時代は、泥水が浄化されていくプロセスと考えると分かりやすいです。泥水も時間が経つと水と土に分離されます。上澄みをすくい上げ、別の水槽で同じことをやっているとしましょう。別の水槽に移すことを、『ステージが変わる』ということだとしたら?」

「なるほど。では、今は何かをすくい上げた方がいい時期なんですね。なんとなくそれは納得できます。では、何をすくい上げればいいんでしょう?」

「はい。先ほどその違和感や葛藤の正体は『魂の更新=転機の兆し』だとお伝えしましたね?そもそも芽衣子さんは、ご自身の存在価値に対してはどうお考えでしょうか?」

「今まで県知事として3期やってきて、国会議員への道も考えていました。しかし優花の死を通じて、今までの経歴等がすべて崩れ落ちてしまった感覚です。私には何もありません。生きている資格もないと感じていた中、佐々木さんに声をかけていただいて嬉しかったくらいです。だからこその葛藤でもあります。」

「さすがです。よく把握していらっしゃいますね。改めてお伝えします。芽衣子さん、私と出会えて本当によかったですね。」

「よかったと思いますが、龍先生の視点で、ぜひ教えていただきたいです。何がよかったんでしょう?」

「はい。『存在価値の本質』です。芽衣子さんは、県知事としての責務を果たせていたから価値があったんでしょうか?優花さんが亡くなったから、価値がなくなったんですか?」

「・・・・・・・・」

名前から観た新次元的あり方

名前から観た新次元的あり方

「芽衣子さんは、『Be・Do・Have』という言葉、聞いたことありませんか?」

「自己啓発系のセミナー等で、聴いたことあります。Haveが持っているもの、Doがやっていること、Beが・・・」

「Beが・・・?」

「よく聴くんですけど、何と表現したらいいかが曖昧ですね。直に話してみて分かりました。」

「でしょうねぇ。予想通りの返答です。もし芽衣子さんの『Beの本質=あり方』が分かったとしたら、どんないいことが起こりそうでしょうか?」

「先生がおっしゃられるイメージが、なんとなくつかめてきました。『県知事をやめて何でもない一般人だろうが、どんなに惨めで嫌なことがあろうとも、絶対に揺らがないもの』ということでしょうか?」

「さすがです!どおりで先日の会で、一目置かれるようなことが起きるんですね!潜在的にはずいぶん理解できているようですから、あとは本質的理解と深みですね。」

先生に認められると、なんだか高揚感がある。「ありがとうございます。では、どうすればいいんでしょう?」

「はい。本の中にも書いていたかと思いますが、私はその当時『Mr.存在価値』と名乗っていました。『Mr.』と呼べる理由は、存在価値の核が名前だからです。名前を深掘りできた分、存在価値への理解が深まります。」

「なるほど・・・。だからこそ、優花のノートに『名前って、何・・・?』と書いてあったんですね。優花にとって、問いに問うてきた詰まりだったのね。」

「ごもっともです。確かにそのとおりですね。優花さんの思いを継ぐことになるかと思います。」

「全くですよね。どうすればいいでしょうか?」

「まずは、『姓名承認』と『姓名覚醒』があります。今の芽衣子さんには圧倒的に『姓名覚醒』をお勧めします。精度にこだわっていますので、まずは誕生日・血液型・出生順・出生地を教えてくださいませ。約3ヶ月を予定していますが、芽衣子さんが望まれる確実な次元上昇が起こります。「新次元的あり方」どうぞ楽しみにしておいてください」

「まぁ!そうなんですか!ありがとうございます」

「私」という物語

龍先生との対話を経て、私の心は少しずつ晴れていく。

この葛藤は、物語の新章の始まりなのだ。 私の本質が、佐々木さんという新たなパートナーと共に、どのような「場」を創り出していくのか。 そして、優花との約束を灯として、深い部分に沁み渡る言葉をどう紡ぎ出していくのか?

もし龍先生に出会っていなかったら—— 私はきっと、資格や肩書きに頼り、誰かの役に立つことで自分を保とうとしていたかもしれない。いかに優花の死を嘆き悲しんでも、延長線上で生きている私がイメージできる。今は違う。私は、最も重要なものに触れる語り手として、場を創る者として、ここに立っている。

私の物語は、ここから新たな展開を迎える。 それは、「最も重要なもの《あり方》への更新作業」を始めるのだ。

——これは私だけの話ではないのかもしれない。同じように悩み苦しむ人を含め、誰にでも転機は訪れる。私のように、「もうムリだ」「私なんかにできるわけがない」と考えてしまうだろう。

「たかが名前」と感じていたが、「されど名前」なのかもしれない。龍先生の底が見えないほどの自信に、希望を感じている。「新次元的あり方」にも興味津々だ。亡くなった優花が書き遺したメモ「名前って、何?」のルーツをたどるべく、宿る意味を見つめ直してみよう。

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