
解釈次第
「伝え方を整えれば、伝わる形になる。」前回の対話で学んだことを実践し、少しずつ手応えを感じるようになった。
ここでまた新たな疑問が湧いてきた。「伝わればいいのか?」
確かに、伝える技術は向上した。とはいえ伝えたからと、何がどう変わっていくのか?実際にやってみて感じること。何かが足りない。言葉にできないミスマッチ感がじれったい。
確実に成長を実感できているものの、なぜか満たされていない心のスキマ。どうすれば埋めきれるのか?最近どんどん悩みが深まってしまっている。なぜこんな惨めな気持ちが湧いてくるのか?
そんな疑問を抱えたまま、龍先生との対話が始まった。
「真紀子さん、大いに悩んでおられますね。素晴らしいことです。ようやくスタートラインに立てたようですね」
「は?悩んでいることがいいこと?なぜでしょう???」かなり混乱してきた。
「混乱するのはごもっともかもしれませんね。脳の都合で言えば、『悩み』『課題』『目標』すべてイコールなんです。だから、言葉を変えるだけで解決しますよ。」
「そうなんですか!」
「分かりやすく、『私は悩みが深い』と考えている方がいるとしましょう。『私は目標が深い』となったら、どんな印象でしょうか?」
「ポジティブな印象ですね」
「ですよね。他にも完璧主義な方は、こだわりが強いとも言えます。要は解釈次第です。ここから何が言えるかというと、悩みとは成長したいという欲求なんです。」
「なるほど〜!そんな解釈は初めてです。どうしてそんな解釈できるようになったんでしょうか?」
3種類のカリスマ
「純粋に相手の幸福を願ってきたので、尽くしてきた集大成とも言えそうです。そうだ!尽くしてきたと言えば、カリスマには大きく3タイプあるのをご存知ですか?」
「え?カリスマにも種類があるんですか?」
「はい。『実力型カリスマ』『信頼型カリスマ』『共感型カリスマ』です。」
「実力型カリスマは、成果を重視し、結果を出すことで影響力を持つリーダーです。一方、信頼型カリスマは、長年の実績と誠実な積み重ねによって影響を与えるタイプ。そして共感型カリスマは、人々の心に寄り添い、感情を通じて影響力を発揮するタイプです。」
私は考え込んだ。
「つまり実力型カリスマは、成果とスピードで人を動かす。信頼型カリスマは、尽くして実績で影響力を持つ。共感型カリスマは、人とのつながりを大切にする?」
「そのとおりです。どれも強い影響力を持ちますが、アプローチが異なります。では、それぞれのカリスマの特徴を整理してみましょう。」
実力型カリスマ(Performance-Based Leader)
結果を出すことで影響力を持つタイプ。短期間で成果を出し、スピード感があります。周囲を巻き込み、リーダーシップを発揮する方に多いですね。民放系でもてはやされ、目立ちがちです。
例えば起業家・トップアスリート・政治家・・・。オリンピックでメダルを受けても、メディアで活躍する方もいれば、そうでもない方いますよね。画数で言うと、21・32・38・41・52・・・。
信頼型カリスマ(Trust-Based Leader)
長年の実績と誠実な行動で信頼を得るタイプで、34画の性質において主要素だと見立てています。尽くし抜くことで、周囲から存在価値を認められていきます。じわじわと影響力を高め、成長を通じて社会的な評価を受ける。
自らが目立つことより、相手が光を浴びる環境を作ることに重点を置きます。例えば職人・研究者・専門性ある経営者。NHK『プロフェッショナル』から出演依頼を受けるような方。一見謙虚すぎて、カリスマとは思えない場合が多いです。画数で言うと、34を筆頭に、27・38・45・・・。
共感型カリスマ(Empathic Leader)
感情に訴えかけ、人の心をつかむ。相手の気持ちを理解しながら影響力を持つ。少人数の深い信頼関係を大切にし、人を導く立場にある。
例えばスピリチュアルリーダー・心理カウンセラー・自己啓発講師・・・。画数で言うと、24・39・43・47・・・。
どのカリスマを目指すのか?
「私は、信頼と共感型の複合型を目指しています。目立つような立場には本当に興味がありません。関わった方々が、活躍して脚光を浴びる姿を陰で支えていきたいです。真紀子さんは、どうありたいですか?」
「どちらかというと、私も先生と同じですね。目立つタイプではないと感じています。・・・カリスマにもいろんなタイプがあること、初めて知りました。」
「私がカリスマイメージで直結するのが、イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんです。 彼は、トイレ掃除を50年超続けてきた経験を踏まえ、掃除文化を世界に根付かせました。
何よりもすごいのが、彼自身の存在感のなさです。 出しゃばることなく、大衆の中にまぎれているため見分けがつきません。『仕組みを作ることが最も簡単かつ確実な実践法だ。最前線に立つことだけが全てではない』と語っておられたことが脳裏に焼き付いています。」
「鍵山さん。お会いしたことはありませんが、先生がすごく尊敬してらっしゃることが伝わってきます。」
「はい。ものすごく尊敬しています。『伝える』と『人を動かす』は違います。 実力型カリスマを目指すなら、成果とスピードを意識し、最前線で模範を示す。信頼型カリスマなら、誠実な積み重ねが重要。そして、共感型カリスマなら、相手の感情に寄り添うことが求められます。
真紀子さん独自の生き方を目指す上で、参考になりそうでしょうか?」
深くうなづき、ノートを開き、新しい問いを書き込んだ。
『私は、どのタイプのカリスマを目指すのか?』
『私は、光を当てる側で、いかに影響を与えていくのか?』
悩みにはちゃんと価値があるのだ。今悩みがあることを、初めて嬉しく思えた。竹が節を作るように、明確に区切りを持てた感覚がある。答えを探す旅が、また新たに始まった気がした。