新たな人生へ〜藤堂富美子さん物語5

新たな人生へ〜藤堂富美子さん物語5

信じたい気持ちと信じきれない疑念

「富美子さんの人生、きっと変わりますよ」真紀子さんの言葉を、何度も反芻している。

「名前を丁寧に見つめる方」──正直、どこかうさん臭いと感じている。信頼する真紀子さんの紹介だから、1度くらい話してみてもいいかもしれない。そう思えたのは、私の中で何かが崩れ始めていたからだろう。

当日、真紀子さんと3人ZOOMの接続ボタンを押す手が少し震えていた。いつも通り、着物をまとい、帯をきちんと締め直す。

「藤間美雅として見られるのか?藤堂富美子として扱われるのか?」私が誰としてこの場に出るのか、正直まだ定まっていない。

画面が切り替わった瞬間、真紀子さんの穏やかな声が響く。

「こんにちは、富美子さん。今日はありがとうございます。富美子さんに龍先生をおつなぎできますこと、本当に嬉しいです。龍先生、どうぞよろしくお願いいたします」

龍 庵真との出会い

「はじめまして。龍 庵真(りゅう あんしん)と申します。お会いできて嬉しいです。」

見た目も話し方も、驚くほど普通だった。むしろ、あまりに気張っていないことが拍子抜けするほどだ。

「軽く自己紹介させていただきます。今まで名前と確実に20万人超は向き合ってきました。おかげさまでGoogle検索よりも速く画数を解説できます。ながらも姓名判断に疑問を感じ、「姓名承認」という造語を生み出せてから、ようやく風向きが変わってきました。

今日は、お名前についての話だと真紀子さんから伺っています。まずは富美子さんが今、何を感じていらっしゃるのか、そちらをお聴かせいただけませんか?」

名前の話じゃないの?と心の中で思ったが、自然と話し始めている自分に驚いた。

守るべき名前と崩れゆく型

「私は日本舞踊を15歳から63年にわたって継続してきました。特に名前に関しては、守らなきゃいけないものだと思ってきました。娘にも、弟子にも、絶対に崩せない『型』として──でも最近、もうその型が意味を持たなくなってきて・・・。」

彼は頷くだけ。何も評価しない。ただ、黙って聞いている。

「私、芸名の藤間美雅(ふじまみやび)という名前に誇りを持ってきました。でも今、それを語るのが、どこか恥ずかしいんです。・・・いや、恥ずかしいというより、本当の私とは違う気がしていて。

なぜなら娘からの一言を機に、今までやってきたことの過ちに気づいてしまったんです。それからというもの、何をやっても失敗する気持ちが湧いてくるんです」

名前と「本来・本当・本物」

少し間をおいて、彼が口を開いた。

「名前は、守るものではなく現れるものだと、私は考えています。本来の名前とは、存在価値の核です。よくも悪くも、生き方やあり方がそのまんま現れてくるものなんですよ。

恥ずかしいと感じていらっしゃるということは、成長や発展の兆しでもあります。顔に泥がついていても、鏡を見たり誰かに指摘されなければ分かりようがありません。気づけてよかったですね。」

「よかったですね」が、胸に刺さる。
名取としての名を守ってきた私には、裏切りにも似た響きだ。過ちを指摘され、追い詰められていくような先入観を抱いていたイメージからは、ずいぶんかけ離れている。

「富美子さんは、『本来』『本当』『本物』の違いって分かりますか?」

「初めて考えます。気にも止めませんでした。」

「まず本来とは、生まれたままの純粋無垢な状態。そこに経験が加わって本当です。さらに同時並行な場合もありますが、価値が加わった状態が本物です。

先ほど、『本当の自分とは違う気がして』とおっしゃられましたね。そう感じてしまうのは、富美子さんが成長したからです。次のステージがあることを知ってしまったんですよ」

「・・・そんなとらえ方は、今までしたことがありませんでした。」

新たな人生の出発記念日

真紀子さんがニコニコしながら聴いている。
「富美子さん、どうぞ感じたことをどんどん話してください。ここでの情報は、誰にも漏らすことはありません。私は、今日が富美子さんの新たな人生の出発記念日になると信じています」

「私、まだやれるんでしょうか?」

「当たり前じゃないですか!私なんて、叩けば埃だらけですよ!それでもちゃんと生きています。人生って、立体構造なんです。苦しく辛い出来事は、後の感謝や感動に変わります。チャンスは不幸の顔してやってきますから」

「そう言っていただけると、なんだかとても楽になれます。真紀子さん、本当にありがとうございます。では、何から話していきましょうか?・・・・・・・・・」

30分経たずに終わってしまうイメージが、結局2時間に。初対面の方に、こんなにも言葉が溢れ出てくるなんて、初めての体験だ。

投稿者:

RyuAnshin

Universal Flow Therapy 健創庵 龍 庵真(りゅうあんしん)と申します。
 少なくとも20万人超のお名前と向き合わさせていただいた経緯から、生き方より理想を創り出す「姓名承認マイスター」を広げています。 
 究極のセルフマネジメントで自立成長を応援。 絶対に目標達成したい方へ、未知の可能性を実感の理想具現化サポート。 
 
 15才で自衛官となり、出身地の長崎よりも首都圏での生活が2/3となりました。 
 私自身のセルフイメージが強烈に低く、どんなに素晴らしいことをしても、悪い意味でバランスをとるような出来事が起きていました。 マジメに生きようともがきつつも、運命の荒波に翻弄され続けた期間は、30年を超えます。 
 今まで一貫してお伝えしてきたのは、 本当の癒しは、ご自身にしかできません。 
 「立名コーチング」という独自の理論により、 ・過去と未来を今ココに集約させ ・理想とする未来のご自身からアドバイスを受ける ・理想とする未来のご自身を発信源に、過去の記憶を癒す 方法を編み出しました。 
 世界中にiPhoneレベルで 「理想の自分像って?」 を訊き合って認め讃え合えている感動世界を見るために、今を生きています。 
 どうぞよろしくお願いいたします。

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