「なぜ減反?」違和感の奥にある解放

「なぜ減反?」違和感の奥にある解放

先日、たまたま流れてきたニュース記事を見て、目を疑いました。「高市内閣、減反政策」?米の価格が信じられないほど高騰している状況にも関わらず、なぜ減反?石破政権では増やしていく方針を固めたのになぜ、減らすのでしょうか?

違和感を抱きつつも、誰も止めません。私も含め、「なんとなくそういうもの」と流してしまっているような・・・。こういったこと、他にもありませんか?

「共生共栄共和思想」という価値観を打ち立て、世に広げようとしています。名前が長いので、「響立思想」と短縮化を試みました。米の問題を通じて、あなたと対話する気持ちでこちらを書いています。

響立思想が、世にあなたにどんな影響を及ぼすのか、私自身も試行錯誤中です。暗闇の中で鍵を探している感覚。ぜひあなたのご意見聴かせていただけませんか?

私は今まで、国が強制的に管理統制をしているものと考えていました。農家の現状は、国に完全に強要されているわけではないようです。政策や補助金・流通の仕組みによって、結果として強く誘導されているのだと理解しました。

作りすぎれば価格は下がります。価格が下がれば経営は成り立ちません。だからこそ「需要に応じた生産」が求められます。さらに補助金には条件があり、特定の作物への転換も促されてきたようです。

命令ではありません。しかし従わざるを得ない暗黙の了解に準じた構造があるのではないでしょうか?だからこそ現場感覚では、「決められている」に近いでしょうし、私もそう思い込んできました。

この現実を無視して、「覆せ」と言っても意味はありません。対立が強まるだけで、本質は何も動きません。

解放とは

ぜひあなたと共有したいのが、「解決」ではなく「解放」という発想。解放とは何でしょうか?こちらでは「『従う or 反る』から抜け、自ら選べる状態」と定義づけています。

環境を変えることでも、ルールを壊すことでもありません。そもそも管理統制されることが、本当に必要なのでしょうか?すべてにおいて常に従わなければならないもの?例えばもし「どうぞ好きにしてください」と言えるなら、どのようないいことが起きそうでしょうか?

多くの場合、同じ枠内で選ばざるを得ません。「従う or 逆らう?」「安定 or 自由?」。この枠にいる限り、どちらを選ぼうが本質的に縛られます。解放は、この選択肢を無効化させます。なぜなら、次元を上げたり、前提を改めるから。

例えばどうすればいいのでしょう?3要素「許可」「決定」「一致」に分かれます。

許可

多くの皆さんが知らずのうちにやらかしているのが「禁止令」です。幼少期に言われたこと、ありませんか?「◯◯◯やっちゃダメでしょ!」等、私も含め大人になった今も、そのまま継続させている方かなりいらっしゃいます。

「許可」とは、心理的な解放です。「やってもいいけど、やらなくてもいい。どうぞお好きなように」です。すべての基盤でもあり、許可できていなければ何をやってもうまくいきません。

決定

「決定」は構造的な解放です。許可を出せ、方向性が定まった状態。決める上で、必要不可欠なキーワードが「捨てる」。分かりやすく、AかBの選択肢があるとしましょう。Aに決めたなら、Bはもともとなかった状態です。

一致

中途半端な状態だと、問題が起きがちです。「許可したのに決めない」「決めたのに許可していない」というズレ。よって最終的に「許可=決定」になる状態、一致です。

「やっていいと思った瞬間、もう選んでいる」「選んだ瞬間、迷いがない」という状態を作り出せるかどうか?は、大きな分かれ道となりそうですが、あなたにはどのように映っていますか?

自立

すべてを変える必要はありません。規模は小さい方がオススメ。突然の変化は反発が起きますし、長続きしない典型例です。

例えば、

・一部の作物だけでも自分で販売してみる。
・一部だけでも別の販路を持ってみる。
・自分の価格で売る経験をしてみる。

重要なのは、「自分で決めて、自分で結果を受け取る」こと。この回路が1つでも通った瞬間、もう「言いなり」ではなくなります。

従うことも、外れることもできる、どちらでも選べる状態。まさに「自立」と呼べるのでは?自立は、「自然や社会とのつながりから、自らを確立させること」と定義づけており、幸福への潤滑剤でもあります。

響立思想で言えば「解放とは、自立の回路を通すこと」。自立が生まれれば、一貫性が生まれます。一貫性があれば、信頼が生まれます。その先に、理想とする世界が現れます。

選べる領域

現実は確かに制約があります。とはいえ、その中でも選べる領域は0ではありません。解放とは、選べる領域を1つでも持つこと。その小さな積み重ねが、やがて選択の次元を変えていくのです。

ここまで読んで、あなたはどう感じますか?もし今、「私は選んでいない」と感じたなら、それは問題ではなく出発点かもしれません。1つだけでいいのです。あなたが今、
自分で決めていないと感じることは何でしょうか?

あなたなら、どうすれば自主性をもって選べますか?答えを曖昧にしたままで終わらせるのは、あまりにもったいないです。言語化した時点で、それはすでに動き始めていますよ。


・理想はあるのに現実が動かない
・自ら決めているつもりでも違和感がある
・どこがズレているのか分からない

もしそう感じているなら、1人で整えるのは難しい領域に入っています。私は、そのズレを言語化し、自立の回路を通すサポートをさせていただいています。どうぞ話を聴かせていただけませんか?

高市政権、コメ政策は先祖返り 増産一転、減反に 高値容認おこめ券は一時しのぎ

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#農家
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分からないままの変化〜堺歩美さん物語14

分からないままの変化〜堺歩美さん物語14

分からないままの変化

「お試しセッション」というが、特別なことをされた覚えもない。たわいのない会話だったはずだ。なのに、明らかにさっきまでと違う。

しばらく動けない。画面はもう暗い。通話は切れている。なのに、まだ何かが続いている感覚が残っている。何が起きたのか、説明できない。

胸のあたりが軽い。詰まっていたものが抜けたような、でも何が抜けたのか分からない。整理しようとする。どこから変わったのか、何がきっかけだったのか、順番に辿ろうとする。・・・追えない。途中で途切れる。

「何だったの?今の」口に出してみる。答えが出ない。というか、分からないままの方がしっくりくる。全く理解できていないのに、ビフォーアフターの違いだけがはっきりしている。その状態が、妙に現実味を持っている。

疑えない

キツネに化かされたみたいだ。ふと浮かんだ言葉に、苦笑する「キツネ・・・」。私に限って、そんなはずはない。冷静に考えれば、ただのオンラインセッション。特別なことは何もない。理屈で説明できるはずだ。・・・できない。

おかしい。疑う材料はいくらでもある。疑う方が自然だ。なのに、その疑いが続かない。さっきまで強烈だったはずの「怪しい」という感覚が、暖簾に腕押し。確実にあるのに、どこか遠くにある。代わりに残っているのは、「もう一度確かめたい」という感覚。

信じているわけではない。納得もしていない。このまま終わらせるのは、あまりに不自然だ。スマートフォンを手に取る。さっきのやり取りがそのまま残っている。さっきの感覚が、まだ残っている。いったい何をされたのか、確かめずにはいられない。

メッセージを開く。何を書けばいいのか分からない。少し考えて、打つ。

「先ほどはありがとうございました。正直、何が起きたのかよく分かっていません」いったん止まる。消そうとする。整えようとする。・・・やめる。そのまま続ける。

「もう一度受けてみたいと思っています。特に『このままでは無理だ』と考えてしまっている理由を明確にしたいです」送る。

迷いのない送信

すぐには返ってこない。待つ。その間、また疑いが顔を出す。本当に大丈夫なのか?何をしているのか?冷静になれ。そう言い聞かせる声が浮かぶ。

もう1つの感覚が消えない。「このまま戻ったら、さっきと同じになる。」

しばらくして、返信。「分からないのが正常です。素晴らしいご決断ですね。直近のご都合はいかがでしょうか?」

余計な説明はない。その代わり、逃げ道もない。画面を見つめる。ここでまた止まる。選べる。やめてもいい。理由はいくらでもある。それでも、指が動く。

「お願いいたします」送信。

今度は迷いがない。送った後、ゆっくり息を吐く。まだ何も分かっていない。信じているわけでもない。それでも、確実に一歩進んでいる感覚だけがある。戻ろうと思えば戻れるはずなのに、なぜかその気が起きない。キツネに化かされたまま、進んでいる。

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引けないまま決める〜堺歩美さん物語13

今回の話は、信用を一切なくしていた会社員当時にHPからお申し込みくださった、船橋にお住まいのC.H.さんのエネルギーを再現してみました。

お互いに何も分からない中、田端のカフェで会いました。結果、約半年間。一気に信頼関係ができ上がりました。

整えなくていい

送信してから、画面を閉じる。何かが終わったような、始まったような感覚だけが残る。

仕事が手につかない。目の前の資料を見ているのに、頭に入らない。時間だけが進んでいく。さっき送った一行が、何度もよみがえる。「うまく言えませんが、今のままでは無理だと感じています」あれでよかったのか分からない。むしろ、あれしか出せなかった。

夕方、スマートフォンが震える。画面を見ると、送った件の返信。息が止まる。短い文章。形式ばった感じはない。説明も多くない。が、こちらの言葉に触れている。「そのままで大丈夫です」また息が止まる。

何が大丈夫なのかは分からない。それでも、引っかかる。「うまく言えない状態のままでかまいません。無理に整えなくて大丈夫です」意図的に深呼吸。「整えなくていい」なんて、言われたことがない。

引けない

画面を見たまま、動けない。返信するか迷う。何を書けばいいのか分からない。また同じになる気がする。それでも、打つ。「ありがとうございます。正直、何をどう伝えればいいのか分かりません」送る。

すぐには返ってこない。待つ。その間、何度も考える。やはりアヤしい。都合のいいことを言われているだけではないか。それでも、さっきの一文が残る。整えなくていい。

夜、もう一度通知が来る。「今のままお話しいただければ十分です。一度お時間をとりましょうか?」直近の日程候補をいくつか送るよう書かれている。ここでまた止まる。会うのか?話すのか?画面を見つめる。逃げようと思えば逃げられる。理由はいくらでもある。なんとなく、指が動いてしまう。「オンラインでも可能ですか?」送信する。

すぐに返ってくる。「はい。ZOOMでも可能です」短い。日程を3つ送り、返信があった。確定。

終わったはずなのに、終わっていない感覚が残る。1つだけ、はっきりしている。もう、引けない。引かない。

引けないまま決める〜堺歩美さん物語13

信頼関係

ZOOM面談。画面の向こうの言葉を、なかなか理解できない。

「信頼関係が大事なんです」多くの場面で聞くような言葉のはずなのに、なぜか引っかかる。信頼関係——その意味を考えようとして、自分の中でまた止まる。

私は、この人を信頼しているのか?分からない。というか、疑っている。完全に理解できているわけでもないし、「怪しくないか?」という疑念も消えていない。それでも——なぜか、画面を閉じようとは思わない。

「体は、ご本人の本音に最も強く反応するんです」静かに続く言葉に、意識が引き寄せられる。

「表面的に信頼しているように見えても、内側で違っていれば、その通りの結果になります。」

内側で違っていれば——。その一言が、残る、刺さる。自分の中を探る。信じているふりなら、いくらでもできる。納得したように頷くことも、合わせることも、これまで何度もやってきた。でも今は違う。むしろ逆で、信じていない自分を、はっきり自覚している。見透かされている。

引かれる側

「もし怪しいと思われるなら、やめておいた方がいいです。」

サラッと言われたその一言で、空気が変わる。売り込まれるどころか、引かれている。——なぜか、離れられない。普通なら、ここで終わるはずだ。「やっぱり今回は見送ります」と言って、画面を閉じる。それが自然で、安全で、何もまちがっていない。そうすれば、何も失わない。

それでも——なぜ?その選択をしたくない。理由は、説明つかない。「なぜ?」が頭の中で飛び交い、混乱の渦中にいる。こんな時は、判断しない方がいい。今は決断を控えた方がいい。

同時に別の声もこだましてくる。「ここで離れたら、もう戻って来れない」その感覚が、消えない。どころか、増幅してくる。

決めたのは私

信頼しているわけではない。むしろ、不信の方が強い。それでも——その不信ごと、置いたまま。「・・・あの」声が、震える。

「遠隔で、お願いすることは・・・・・・できますか?」言ってしまった。

同時に、どこかで決まっていた気もする。画面の向こうで、龍先生が頷く。

「大丈夫ですよ。まずはお試しセッションでもよさそうですね。もし心の準備が整っておられるようなら、今すぐにでもできますがどうしましょう?」。

特別なことは何も言われていないのに、逃げ場がなくなったような感覚になる。決めたのは、向こうではない。私だ。目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。もう一度、画面を見る。さっきと同じはずの景色が、かすかに違って見えた。

「はい。お願いいたします」

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関係性の本質は、終わった後に現れる

終わった後に残るもの

関係性の本質は、終わった後に現れる

昨今よく見るイベントの光景。終わった後の状況に、言葉を失います。あれだけ賑わっていたはずの場所に残るのは・・・。例えば夏祭りの翌朝に、ジョギング中に見たゴミの山。かたづけてあっただけ、まだいい方です。

ゴミとは、人間の勝手な都合による解釈です。ゴミにしてみれば、どう扱って欲しいのでしょうか?靖国神社では、祭りで屋台出店を禁じました。遊就館ではゴミを「護美」と書き、本質的に慮っての判断だと受け止めています。

楽しむことは素晴らしいです。祝うことも、美しい行為のはず。それでも、終わった後に何が残るのかを見ると、本当にそれを「大切にしていたのか?」と、問わずにはいられません。あなたにはどう映るでしょうか?

小さな違和感は、あり方の一部

こういった違和感は、日常の些細な出来事に限った話ではありません。「挨拶もちゃんとできないやつに立派に務まるわけがない」昔から言われてきましたが、ハインリッヒの法則にも通じています。ごく些細な出来事は、よくも悪くも後の大きな結果へとつながっていくのです。

人間関係においても同じです。よかれと思っての一言が、相手には押し付けに感じられることってありませんか?何気ない振る舞いが、関係性そのものを左右してしまうこともあります。わずかなズレは、その場で終わるものではなく、やがて関係全体のあり方として表れてくるのです。

この構造は、個人の関係にとどまるものではありません。現代社会でも歴史の中でも、相似形で繰り返されてきました。

例えば、かつて掲げられた大東亜共栄圏という理想。アジアが共に生き、共に栄えるという思想は、言葉だけ見れば素晴らしいこと。しかし現実に起きたのは、「共栄」とは受け取られない出来事の連続でした。

理想は掲げられていました。その結末とはどうだったのでしょうか?後のベトナム戦争でも同じことが起きています。植民地支配を受けていた現地民から別の形の支配として受け取られます。同じ行為でも、評価が分かれるのはなぜなのでしょうか?

大きく2つに整理できます。1つは、受け取る側の状況。もう1つは、関係性の構造です。どれだけ善意や理想を掲げていても、相手がそれを「自ら選べない状態」に置かれていたとしたら、それは支えではなく、介入として受け取られます。

善意が支配に変わる境界線

今回のブログの目的にようやく入れます。見落とされがちな境界線。前に奥さんへ、似合いそうだと内緒でプレゼントを試みたことがあります。奥さんも「確かに、よく似合ってるよね」と言った次の一言「私が選びたかった」。この一言に、すべてが表れています。

・与えているつもり
・よかれと思っている
・正しいことをしている

相手の「選ぶ余地」が奪われた瞬間に、関係は対等ではなくなります。対等でなくなった関係は、どれだけ言葉を整えても、共生とは呼べません。だからこそ時に、支配の言い換えとして受け取られてしまうのです。

現代にも続く同じ因果

これは過去の話ではありません。今のアメリカとイランの関係を見ても、片側は「秩序」や「安定」を掲げ、もう片側は「主権」や「自立」を守ろうとしています。

大局的には似ていませんか?正しさの衝突に見えて、実際に起きているのは、あり方の衝突です。結果として、同じようなことが繰り返される因果となります。

ここまで見てくると、共通点が浮き彫り化されてきます。問題は、

・何をしたか
・どれだけ正しかったか

ではなさそうですね。「どんな関係性で、それが行われたのか?」この一点に尽きるのではないでしょうか?あなたのご意見をぜひ聴かせてくださいませ。

よかれと思っての行為であっても、相手がそれを「自ら選んだ」と感じられなければ、その関わりはどこかで歪んでしまいます。

個人でも、国家でも、その違いはスケールだけで、本質は変わりません。

共生共栄が成立する条件

共生共栄は、美しい言葉です。しかし、それが成立するには条件があります。それぞれが、自立していること。自立していない状態での共生は、支え合いではなく、依存や支配に変わります。

はじめの話に戻ります。イベントの後に残るゴミ。そこには、扱われ方の結果がそのまま表れています。同じように、

・歴史の終わり方
・関係の終わり方
・関わりの余韻

そこにこそ、本質が現れます。

問われているのは、正しさではありません。すべてが完了した後に、何が残るのでしょうか?あなたの関わりの先に残るものは、残したいものはどんな「あり方」でしょうか?

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止めながら越える〜堺歩美さん物語12

垂直にそびえ立つ、揺るぎない自律の軸——「皇(おう)」。自由に吹き抜け、境界を溶かしていく共鳴——「風」。一見、矛盾する2つのエネルギー。1つの生き方にまとめたく考えています。

「正しくあれ」と自らを律する重圧と「それでもいい」と他者と響き合う軽やかさ。自らの人生の「王(主)」として立ちながら、一筋の「風」として世界を吹き抜けていく、1編集者の「解放」の物語。

止めながら越える〜堺歩美さん物語12

疑念

「りゅうあんしん」メモ書きのとおり、サイト検索してみる。確かに出てきた。しかし・・・・・・アヤしい。書いてあることが、かなりうさんくさい。美奈さんの話がなければ、確実にスルーする。美奈さんは、こちらのサイトは見たのだろうか?友人の紹介でと語っていたが、どんな経緯で興味を持ったのだろう?分からないながらに飛び込んだ理由とは?

「全て叶える自分になる」「決めたことを正解に」はぁ?どうせ誇大広告に決まっている。何が起きるのか、どう変わるのか、分からないことだらけだ。また詐欺じゃないの?・・・・本当に大丈夫?

今までならここで止まる。「もう少し調べてからにしよう」「他にもあるはずだ」と、身を引いてきた。その方が正しい気もする。・・・・・・・・なぜか離れられない。信じてなんかいない。不信の方が圧倒的に強い。それなのに「今ここで離れたら、もう戻ってこない気がする」という感覚だけが残り続ける。

書けない

この感覚に理由はない。説明もできない。消えない。だからこそ、疑いを抱えたままでも、なお踏み出してしまうことがある。十分に気をつけなければならない。

「ひとまずは、話だけでも聴いてみよう」言葉にした瞬間、何かが決まった。

そのまま画面を見る。問い合わせフォームがある。指が止まる。何を書けばいいのか分からない。名前、連絡先、内容。項目は単純なのに、進まない。

何を書けばいい?相談内容。・・・何を相談する?分からない。さっきまでのことを言葉にしようとする。「分からない」「止めている」「噛み合わない」どれも違う。どれも浅い。整えようとした瞬間、全部消える。

越える

また同じだ。止めている。画面を閉じようとする。やめておこう、と言い訳が浮かぶ。「やっぱり怪しい」「もっと調べてから」。それでも、なぜか閉じない。ここで戻ったら、さっきと同じになる。はっきりしているのは、それだけ。それだけは嫌だ。

深く息を吐く。整えない。そのまま書く。「うまく言えませんが、今のままでは無理だと感じています」一行だけ。

送信ボタンが目に入る。指が止まる。迷う。疑いは消えていない。むしろ強い。それでも、押す。押した瞬間、音は何もないのに、はっきりと分かる。戻れない。線路の軌道が切り変わるかのように、確実に、何かが動いた。境界線を越えた。

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止めてきた声〜堺歩美さん物語11

私は、「誰の視点か?」極めて意識してきました。今回は、主人公である堺歩美さん視点。強烈にこだわっています。架空の人物ですが、私の中で彼女は生きています。

止めてきた声

言葉が出て、空気が止まっている感覚。整えられていないまま出た言葉が残っている。直美は何も言わずにこちらを見ている。逃げられない。何か続けなければいけないと分かっているのに、どう続ければいいのか分からない。そのまま沈黙が続く。

「・・・じゃあ、どうするの?」

直美の一言で、また止まる。どうする?考えても何も出てこない。今までのやり方では無理だと分かっているのに、別のやり方が浮かばない。

「分からない」

「やっと本音」直美がボソッと一言。

「じゃあ、そのままにしないで」強くはないが、逃げ場がふさがれた。

何も言えない。言葉を探す。整えようとする。・・・できない。どれくらい経ったろう?沈黙が続く。直美が視線を外す。

「もういい」席を立ち、足音が遠ざかる。

直美が席を立った後、すべての音が消える。さっきまでの会話が、そのまま残っている。何も進んでいないのに、修復しようがない、戻れない感覚。

ズレ

キッチンに立ったまま動けない。コーヒーは冷めている。時間だけが進んでいく。このまま会社に行けば、何もなかったことにできる。いつも通りに戻せる。できるはずなのに、動けない。

さっき出た言葉が、さらに重くのしかかっていく。「分からない」「避けてきた」整えられなかった言葉が、浮き彫りに、鮮明に。今までなら、ここで整えていた。理由をつけて、形にして、納得させていた。今回はできない。

そのまま、立ち尽くす。

ハッと我に返り、時間に押されるように動き出す。いつも余裕をもって出かけていたが、今日は際どい。とにかく身支度をして、家を出る。外の空気はいつもと変わらない。人も同じように動いている。それでも、私だけがズレている。

歩きながら、さっきの会話が何度もよみがえる。直美の言葉と、自分の言葉。噛み合っていなかったことが、はっきりしている。だからと言って、どうすればいいのか分からない。

このままでは無理だという感覚だけが残る。駅に向かう足が、異様に重い。

上を向く

改札が見える。人の流れに乗る。いつもと同じ動きのはずなのに、どこかで噛み合っていない。流れに入れない。無理に合わせる。

ふと、昨夜のインタビューで受けた感覚の記憶がよぎる。美奈さんの声。無理がない。押していない。それでも届く。さっきの私の声が重なる。止めて、整えて、結局出さない。明らかに違う。

足が止まる。後ろから人が流れてくる。軽く肩がぶつかる。「すみません」と反射的に言う。その声すら、どこか外側で出ている感覚。

まただ。止めている。その瞬間、はっきりする。家庭でも、仕事でも、今も、ずっと。全部同じ動き。整えて、止めて、出さない。その繰り返し。分かったところで、どうすればいいのかは分からない。でも、このままでは無理だという感覚だけは、さっきよりも強くなる。

改札の前で、完全に止まる。通れるのに、通らない。通れない。なぜ?何がどう違うの?さっぱり分からない・・・・・・・・。涙が込み上げてきた。上を向く。

止めてきた声〜堺歩美さん物語11

会社へ体不調で遅刻する連絡を済ませ、約1時間遅れで到着。今日は仕事になりそうもないが、昨日のメモに目を通す。

「りゅうあんしん」走り書きの雑な字が、突如目に飛び込んできた。なぜかは分からない。何をする人かも、よく分からない。それでも、消えない。美奈さんの声につながっているという事実だけが残っている。

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崩れる朝〜堺歩美さん物語10

崩れる朝〜堺歩美さん物語10

残響

朝。目が覚めても、昨日の感覚が残っている。美奈さんの「届く声」が、頭に鳴り響いている。顔を洗うが、鏡は見ない。キッチンに立ち、コーヒーを淹れる。音だけが響く。

足音。直美が来る。

「おはよう」

「・・・おはよ」短い。続かない。パンを焼く。皿にのせる。いつもの動き。

「今日、何時に出るの?」

直美がかすかに引きつり笑う。「ママらしい」

鼓動が止まる。「どういう意味?」

「そのままだよ。ちゃんとしてるフリしてるだけでしょ」

露呈

空気が変わる。

「フリって何?」声が少し荒強くなるのが分かる。

「いつもそうじゃん。言いたいこと言わないで、あとから勝手に抱えて」

言い返す言葉を探す。見つからない。

「別に・・・そんなこと」

「ほらね」被せられる。

「ママ、何も言わないで『分かってるでしょ?』って顔するの、もう無理」髪をクシャクシャにしながら。

胸の奥が動く。「・・・そんなつもりは」

「つもりじゃなくて、そうなってる」

言葉に詰まる。昨夜、ドアの前で止まった感覚が重なる。今朝、飲み込んだ言葉も。同じ動き。同じ止まり。

「ねえ、ちゃんと話してよ」テーブルを、指でトントン鳴らしている。

まっすぐ言われる。逃げ場がない。言葉を選ぶ。整える。・・・出てこない。沈黙。そのまま立ち尽くす。直美が息を吐く。

「やっぱりね」ボソッと言って、視線を外す。コーヒーを一口。

その瞬間、はっきり分かる。今までと同じことを、またやった。何も変わっていない。目の前で。「やっぱりね」と視線を外されたまま終わるはずだったのに、なぜか・・・。

崩れ

「・・・待って」と口に出してしまい、自分ながらに驚く。何を言おうとしているのか分からない。それでも、このまま引けばまた同じになると分かっているから、引けない。直美が振り返る。喉が詰まる。言葉が出ない。それでも、出す。

「・・・私、分かってるフリしてるかも」

言った瞬間、逃げていたことが発覚する。直美の表情が変わる。

「やっと言った」なんとなく嬉しそう。

直美の一言で、支えていたものが崩れる。何をどう言えばいいのか分からないまま、流れを止められない。

「うまく言えない。でも・・・ずっと避けてきたと思う」整えられていない言葉が、そのまま出ていく。今までなら選んで、整えて、結局出さなかった言葉が、形にならないまま外に出る。初めてだ。こんなふうに話すのは。

直美は何も言わない。ただ見ている。評価も否定もなく、そのまま受けている。その沈黙の中で、もう隠せないと分かる。このまま取り繕えない。ここで止めたら、さっきと同じになる。

それでも、どう続ければいいのかは分からない。ただ1つだけはっきりしている。このやり方では、もう無理だということだけ。

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天才性を思い出す

天才性を思い出す

天才は状態である

「変わりたい」と願い続けているのに、何も変わらない。むしろ、変わろうとするほどズレていく。この違和感、あなたには覚えありませんか?こういった流れは、もしや天才性発掘のサインなのかもしれません。

天才は、生まれつきの能力だと思っていた、40代前半までの私。誰とも話が噛み合わず、孤独の極致。意味不明に「核弾頭」だと称され、バカだと決めつけてきました。

流れが全く変わったきっかけは、施術のお客様でもあった某コピーライターさん(「Universal Flow 」の発案者)。「あなたはまぎれもなく天才よ」と、施術体験会後の懇親会で評してくださいました。

現実の荒波に翻弄され、すっかり忘れていたのを思い出せたのが、コロナ禍に降りてきた『姓名承認』です。この言葉を機に、「私は確かに天才で、天命を生きていないわけがない」と確信いたしました。

天才よりも天才性

『フロンティア あなたの中の天才脳』(NHK)では、天才とは
1「生まれながらの天才(先天性サヴァン)」。
2「事故等で脳が損傷し起きる天才(獲得性サヴァン)」
だと主張しています。

疑問が湧きました。Google検索より速く名前の解説が浮かんでくるようになったきっかけは、営業の真っ最中。事故とは完全に無縁で、ネガティブイメージ全開でした。まさに突然変異と言わんばかり。

私の主張は、「天才」そのものではなく「天才性」です。もはや名前に関する私の能力は、条件反射です。姓名判断が大嫌いだったので、名前の世界と距離を置こうと何度試みてきたことか。裏腹にいつの間にやら、名前関連に紐づけた思考へ。変わったことが邪魔でした。

「天才性」とは、必要に応じて望ましい能力を発揮できている状態です。よって偶然ではなく意図的に入れるものなのです。鍵はプロセスと妨げている正体の理解です。

対話の精度

1人でいくらでも深く考えられます。だがそれは「深い気がしているだけ」かもしれません。「核心に触れているのか、ただ気持ちよく納得しているのか?」自己対話では判別がつきにくいのです。

・自分の中で正しかったものが、他者の一言で簡単に壊れる
・曖昧だったものが一気に具現化する

誰かとの対話によって、こういった場面に遭遇したこと、ありませんか?自己対話した方がいいと、多くの皆さんが考えていながら足踏みしてしまう理由の1つ。《思い込みの暴走》です。

ひらめいたアイデアが、本当にクリエイティブな世を揺り動かす発見なのか、何のことはないただの勝手な思い込みかは、誰とどんな対話を重ねるかによります。

問いは思考の確認

「あんた、どう思う?」尊敬する松下幸之助さんの口ぐせ。「経営の神様」と名高い彼が、知らなくて訊いているとは、どうしても思えませんでした。

「あんた、どう思う?」と尊敬する方から問われれば、嬉しくない訳がありません。喜び勇んで考え答えます。彼は、問うた答えがどう反応されるかを、確認していたのでは?

問いは、思考を壊します。自らだけでは完成しないものを、外に出すことで初めて確かめているのです。本当の自己対話は深まるほどに、確認したくなるのです。

変容とは

冒頭の問い「『変わりたい』と願い続けているのに、何も変わらない。むしろ、変わろうとするほどズレていく」に戻ります。

天才性を発掘し変容を起こせた方々は、変わっているのでしょうか?私の主張は「思い出して、自発的に更新への意欲を明確化させ、たどり着けた」です。変容は結果です。事故が起きた等のあまりに急激だった場合、プロセスが曖昧化されます。だからこそ「突然変異だ」となります。

仮にあなたが思わしくない状態だとしましょう。それは、何らかの不具合があって「本来の状態」を忘れてしまっているからだとしたら?もしその「本来の状態」を思い出せたなら、あなたの人生が変われない理由とは何でしょう?あなたが考える「変われない理由」を1つ1つ解放していった先にあるものとは?

変えようとするほど、ズレます。理由は、本来の状態から離れる方向へ力を使っているからだとしたら?あなたが「どうしてもあきらめきれない」「これをやらずには死ねない」と感じていることとは?

結論

多くの皆さんから「おかげさまで変われました」と感謝される場面もありました。ずっと疑問に感じていた点です。私は、「変えた」覚えがありません。

もともとあなたは、「本来の状態をかっこよく生き抜いている」のです。あなたは幸福になるために生まれてきたのですから。

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声〜堺歩美さん物語9

店を出る。外の空気が冷たい。美奈さんの声が残っている。無理がない、押していない、それでも届く、声。確実に、向き合っていなければたどり着けようがないエネルギーを感じた。私の声はどう?言葉を選ぶ。整える。伝える前に、どこかで止める。さっきの声と、明らかに噛み合っていないと、私自身が自覚している。

「編集長。今日はどうしたんですか?」付き添っていたADが訊いてくる。

「え?何が?」

「え?気づきませんか?いつもは、特集に関することしか話題にしないじゃないですか。今日の後半に訊いていたことが、記事になるとはあまりイメージつきません」

「確かにそうね。あなたには無駄な時間を過ごさせてしまったわね。ごめんなさい。」

まったく彼の言う通りだ。私、どうしたんだろう?記事になりそうもないことをたくさん訊いて、いったい何をしようとしていたのかしら?

なぜだろう?言葉にできない嫌な感じ。なぜ今こんな気持ちになるのか?

よみがえってくる声

麻布十番の店を出てから、それぞれ直帰する予定。四谷で中央線に乗り換える。足は動いているのに、さっきの感覚だけが残っている。私の声を気に入っていないというわけではないのに、美奈さんの声が脳裏から離れない。なぜこんなにも気になってしまうのか?

「編集長、大丈夫ですか?」ADが心配そうに覗き込む。

「ええ。大丈夫よ」

そう答えつつも、自分でも分かる。大丈夫じゃない。確実にいつもの私ではない。けれど、違いを言葉にできない。人混みの流れに紛れていく。さっきまでのことが、少しずつ遠くなる。それでも、消えない。

声〜堺歩美さん物語9

ホームに立つ。電車が入ってくる音。乗り込む。ドアが閉まる。窓に映る自分の顔を見る。・・・何かが違う。目を逸らす。スマートフォンが震える。仕事の連絡。いつも通り、返す。指は動く。さっきまでの感覚とは、別の場所で。

電車が動き出す。流れていく景色を見ながら、また美奈さんの声が、よみがえってくる。

鳴り響く不協和音

吉祥寺駅に着き、自宅までのいつもの道。美奈さんの声とともに湧いてくるのが、長女 育美の渇いた笑い「ママらしい」。なぜ今これ?不可解な不協和音が頭に鳴り響いている。

言い返そうとして、やめる。言葉を選ぶ。整える。結局、何も言わず押し込める。同時に、さっきの声が重なる。無理がない。押していない。それでも、届く声。頭に鳴り響く不協和音を、さらに押し込める。

明らかに噛み合わっていない。だとしたら、私は何かを止めているのではないか?「言わない」ではなく「言えない」?・・・答えは出ない。ただ、はっきりする。このままじゃ、同じことを繰り返す。何をどうすればいいか分からないが、今のままではダメな気がしてならない。

歩き続けるうちに、自宅の灯りが見える。オートロックのエントランスを抜け、エレベータを上がる。最寄り階に着き、ドアの前で手が止まる。このまま入ると、また同じだ。迷う。ドアノブに手をかけたまま、動けない。

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求めてきたマリアージュ〜堺歩美さん物語8

求めてきたマリアージュ〜堺歩美さん物語8

前回からに続き、美奈さんへのインタビューはまだ続いている。厨房の奥で、小さく火の音がしている。営業日の賑わいとは違い、店全体がゆっくり呼吸しているような静けさだ。

私はメモ帳のページをめくった。

「もしよろしければ、そのセラピーについて、もう少し詳しく聴かせていただけますか?」

美奈さんは小さく頷く。

見えない領域

「そのセラピーって、どんなことをするんですか?」

率直に尋ねると、美奈さんは少し笑う。

「それが、一言で説明するのが難しいんです」

「難しい?」

「ええ。何かを教わる、という感じでもないんです」

そう言って、少し考えるように視線を上げる。

「むしろ、自分の反応を見ていく感じ、でしょうか」

反応。その言葉を書き留める。

「体の反応、ですか?」

「体もそうですし、考え方もですね」美奈さんが続ける。

「龍先生は、何かを押し付けることはありません。こちらの反応を見ながら、質問されるんです」

質問。それはカウンセリングのようなものだろうか?美奈さんは首を振る。

「少し違う気がします」

料理に似ている

「どう違うんでしょう?」

「うーん・・・」考える間を置いてから、美奈さんはゆっくり返してくる。

「料理に近いかもしれません」

思わず顔を上げた。「料理?」

「はい」美奈さんは頷いた。

「どういうことでしょう?」

「素材って、それぞれ持っている味がありますよね。無理に変えるんじゃなくて、そのまま活かす」

確かにフレンチでも和食でも、よく聞く話だ。

「龍先生も、それに近い感じなんです」

「どういう意味ですか?」

「もともと自分の中にあるものを、ただ見つけていく感じなんです」

その言葉を聞いた瞬間、なんとなく既視感を覚える。さっき美奈さんが言っていた言葉。

《自分の中にあったものを、やっと使えるようになってきた》と、どこかつながっている気がする。

無理が減る

「だから最初は、何が起きているのかよく分からないんです」

美奈さんが微笑む。

「でも、続けていると気づくんです」

「何に?」

「無理が減っていることに」

穏やかな声。

「料理でも、店でも、人生でも。今までは頑張っていたところが、自然に動くようになるんです。『あ、これが求めてきたマリアージュなんだ』って感じています。」

私はペンを止めた。「頑張らなくなる」。それは一見、怠けているようにも聞こえる。けれど美奈さんの話を聞いていると、そういう意味ではない気がする。むしろ逆だ。本来の力が、邪魔されなくなる。そんな感覚ではないか。

周囲も変わる

「不思議ですよね」

美奈さんはそう言って、気持ち肩をすくめた。

「説明しようとすると難しいんです。でも、店のスタッフも少しずつ変わってきていて」

隣に座っていたスーシェフが、小さく笑った。「確かに。言われて気づけました」

短い一言だったが、どこか実感がこもっている。その様子を見ながら、ふと思う。もしそれが本当なら。それは単なるセラピーの話ではない。

深い人

私はもう一つ、気になっていたことを尋ねた。

「その龍先生は・・・どんな方なんですか?」

少しだけ間を置く。

美奈さんは一瞬、遠くを見るような表情をした。

そして、ゆっくり答えた。

「そうですね・・・」

小さく笑う。

「一言で言うなら」

少し首をかしげてから、言った。

「とても深い人です」

その答えは、思っていたよりもずっとシンプルだった。けれど不思議と、強く心に残った。

深い人。そう言われた瞬間、なぜか訊き返せない。

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